「クリエイティビティドリブン」な世界観
最後に、「クリエイティビティドリブン(創造主導的)」についてです。
TikTok上では「コンテンツ・イズ・キング」を最重要課題としたユーザーコミュニティが形成されています。TikTokの機能を具体的に見てみると、TikTokは多方面からクリエイター(投稿者)がもつクリエイティビティを最大限に解放しようとしていることが感じられます。

具体的には、「豊富な編集機能」があります。TikTokには直感的に操作でき、かつバラエティに富んだ編集機能が用意されているため、ユーザーはたとえ映像編集のリテラシーをさほど有していなくともそれなりの映像を創作することが可能です。また、BGMもすでに用意されたものから選択すれば良いため、それらを組み合わせることで誰もが一端のクリエイターになることができます。
また、「フォローを必要としない」ことも特長的です。TwitterやInstagramがユーザー間のフォロー関係を基にコンテンツフィードが形成されているのに対し、TikTokでは前述のレコメンドシステムによって、たとえフォロワーが0だとしても投稿したコンテンツが一定数のユーザーに届く仕組みになっており、そのコンテンツが素晴らしいものであれば、過去の蓄積の有無に関わらずバズる可能性を大いに孕んだ設計となっています。
このように、ユーザーのクリエイティビティを丁寧に育み引き出すプラットフォーム作りが行われているため、TikTok上には「コンテンツ・イズ・キング」の文化があります。だからこそ純粋にクリエイティビティを評価し合う、健全で気持ちの良いコミュニティカルチャーができあがっています。
プラットフォーム作りにおいて最も重要なのは「ユーザーコミュニティ」を育むことです。まったく同じ機能を有したサービスでもユーザーの属性や生態が大きく異なる場合がありますが、それはこのコミュニティ作りの違いによって現れる差異です。
こうした世界観およびコミュニティの特色がTikTokの強さの3つ目「クリエイティビティドリブン」につながっているのです。
TikTokは世界で最も勢いのあるプラットフォーム
さて、ここまで「イマーシブ」「パーソナライズド」「クリエイティビティドリブン」という3つのキーワードでTikTokの他プラットフォームに対する特長を解説してきましたが、結論を整理してみましょう。
イマーシブ
・スマホ画面いっぱいに展開されるショートムービー(短尺縦型動画)
・コンテンツを邪魔しない画面設計
・コンテンツごとに設定されたユニークなBGM
・スマホ最適化されたノンストレスなコンテンツ切り替え操作
これらによってタイムパフォーマンスが高くノイズを最小化した没入体験を得ることができる。
パーソナライズド
・個々人の興味関心領域に高精度でマッチするコンテンツ
・数個に1個の割合で現れる新ジャンルコンテンツ
高性能レコメンドシステムによって次々に配信されることで、自身にぴったりのコンテンツ体験を受動的に堪能できる。
クリエイティビティドリブン
・直感的でバラエティ豊かな編集機能
・フォローではなく純粋なコンテンツのクオリティが評価される配信レコメンドシステム
・脈々と築かれてきた「コンテンツ・イズ・キング」なカルチャー
3つの要素からクリエイティビティを尊重するポジティブなコミュニティが形成されている。
こうしたプロダクトの強さも相まって、TikTokは2021年に世界で最もダウンロードされたアプリとなり、米国やイギリスではYouTube以上に時間を費やされ、さらには日本においても日経トレンディの2021年ヒット商品ランキング30にて「TikTok売れ」の言葉が第1位に輝くなど、全世界的に破竹の勢いを見せています。
今回は、TikTokのプラットフォームとしての強さの源泉を紐解いてきました。次回は、TikTokのビジネス活用における可能性について解説していきます。
