町長として住民と一緒にまちを作り上げる
水野:まず、三菱地所の企業コミュニティサイト「丸の内15丁目PROJECT.」について、紹介をお願いします。
高田:「ラグビーの新しい魅力に出会える街」というコンセプトのもと作り上げた架空の「まち」で活動するラグビーコミュニティです。バーチャルタウンとして立ち上げた「丸の内15丁目」には、コアなラグビーファンはもちろんのこと、ラグビーワールドカップ2019日本大会(以下、2019W杯)をきっかけにラグビーへ興味を持ってくれた“にわかファン”も参加してくれています。
高田:私たちは丸の内15丁目に集うファンを「住民」と呼んでいるんです。ちなみにコミュニティを運営する私は「町長」を拝命し、住民と一緒になってまちを作り上げる共創の取り組みを進めています。
高田:現在力を入れているのは、共創コンテンツ「15丁目のまちづくり」です。先日、事務局の起案でまちのビールを開発するビール工場と、社会課題を学びアクションにつなげる場としての大学「DAEN Univ.」の2プロジェクトが立ち上がったのですが、ビール名や工場の名称、大学の講義テーマなどは住民投票で決めています。
水野:なぜビール工場を作ろうと思われたのですか?
高田:ラグビー観戦のお供と言えばビールだからです。社交の場のマストアイテムでもあるので、丸の内15丁目の新しい名物として開発した“ラガー”ビールを、これからも住民の皆様と一緒に育てていきたいです。
丸の内ブランドに“熱狂”という新たな価値を
高田:DAEN Univ.のコンセプトは「学んでアクションできる場所」です。リアルな社会における課題に対し、私たちが住民と一緒に動いていくための仕掛けとして企画しました。学びの一環として、五郎丸歩選手などラグビー界の著名人を招き、ラグビー観戦のコツなどを講義形式で配信しています。ライブ講義では受講生から質問や感想をチャットで受領し、講師がリアルタイムに回答するインタラクティブな形式を採っているんです。
水野:企画の提案は町長が行っているのですか?
高田:現在は住民から企画を募集しています。「いいね」が35個付いた企画は必ず事務局で検討することを「町長のマニフェスト」に掲げているんです。先日、住民発信の企画案が初めて35個のいいねを獲得したので、事務局で実現に向けて検討しています。
水野:35という数字には何か意味が込められているのでしょうか。
高田:15人制ラグビーのプレーヤー数と、2019W杯における日本の初戦の日付(9月20日)を足した数です。強引なのは承知しています(笑)。
水野:そもそもどのような経緯でコミュニティが生まれたのでしょうか。
高田:プロジェクト自体は2018年に始動しました。「どうすればコーポレートブランドや丸の内のブランド価値が上がるのか」「他エリアとの競合をどう勝ち抜いていくか」を社内で議論する中で「丸の内の持つ従来のイメージに新しい個性が加われば、さらなるブランド価値を生み出せるのでは?」と考えたことがプロジェクト立ち上げのきっかけです。ちなみに、水野さんは丸の内に対してどんなイメージを持たれていますか?
水野:「おしゃれでスタイリッシュ」「整然としている」という印象を持っていますね。
高田:私たちはそうしたイメージに“熱狂”という個性をプラスしたいと考えたんです。そこで、ラグビーのもたらす感動や勇気など、人々の共感が伝播する場としてコミュニティを作りました。