※本記事は、2022年2月25日刊行の定期誌『MarkeZine』74号に掲載したものです。
参入と競争で生き残りが見えた
株式会社ファインドスター 代表取締役社長
日本サブスクリプションビジネス振興会 会長 渡邊敦彦(わたなべ・あつひこ)氏1981年、愛媛県生まれ。武蔵工業大学工学部建築学科卒(現東京都市大学)。2005年、ファインドスターに入社。ヘルスケア業界を中心にサブスクモデルのマーケティング支援に従事。2008年、ワンスターを創業し、代表取締役に就任。サブスクモデルに特化したデジタルマーケティング支援事業を行う。2013年度上半期Yahoo!JAPANプレミアム広告エージェンシーカンファレンスにおいて「優秀成長広告会社賞」を受賞。2013年度マイクロソフトアドバタイジングパートナーズカンファレンスにおいて「Best Growth賞」を受賞。2015年、ファインドスター代表取締役に就任。現在、サブスクモデルのマーケティング支援を多角的に展開。
――サブスク振興会は、2018年12月に設立して以降、月例会やサブスク大賞の開催を通じてサブスクの変遷を見てきたと思います。渡邊さんは今日までの日本のサブスクにどのような変化が起きてきたと考えていますか。
サブスク市場は1.0から3.0の大きく3つのフェーズに分けられることが多いです。サブスク1.0は定額制で初期コストを抑えながら、商品やサービスを購入/利用でき、サブスク2.0は料金プランの選択肢が増え、商品やサービスが常にアップデートされながら利用できます。そして、サブスク3.0はAIを活用し、顧客の好みに合わせてパーソナライズしたサービスを定額で受けることができます。
これらの3つのフェーズで見たときに、日本のサブスクは現在2.0が主流になってきたと言えます。大企業からスタートアップまで様々な企業がサブスクサービスを立ち上げ競争が起き、競争に負けたサービスは淘汰されクオリティの高いサービスが揃ってきました。
とはいえ、サブスクと言えば外資企業によるサービスのイメージが強かったのですが、これから「日本のサブスクと言えば、この企業・サービス」というのが台頭してくるのではないかと思います。
――競争が起きたとのことですが、勝ち残った企業・サービスにはどのような特徴がありますか。
BtoBではSaaS、BtoCでは家具やアパレルなどモノを扱うサブスクが一定の市民権を得たように思います。特にBtoCに関しては、これまでECで販売していたモノをサブスクで提供する動きが進んだと思います。
また、生き残った企業はサービスのオペレーション部分を愚直に設計・改善してきた印象が強いです。たとえば、倉庫のフルフィルメントサービスも非常に高度なことをやっていますし、2019年のサブスク大賞でスポンサー賞を受賞したネット宅配クリーニングのサブスクを展開するリネットでは、クリーニング施設のDX化にいち早く取り組んできました。