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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

1から学ぶインサイト発掘の手法

インサイトを発掘するスキルを磨く。日常的にできる8つのトレーニング手法を紹介

3~6:消費者として触れる製品・広告がヒントになることも

3.お客様相談室へ問い合わせる

 競合他社に問い合わせをするわけではありません。日常生活で自分自身が使っている商品について気になることがあったとき、お客様相談室へ問い合わせてみると、新しい発見があります。たとえば、私が以前ロンドンへ異動になったときの話です。海外に行くための保険や、海外赴任の間の荷物の管理など、問い合わせてみて得られる情報が多くありました。また、子供のベビーグッズなどは使い方がわからないとき、使い方があっているか不安なときにお客様相談室へ問い合わせることで、役に立つ情報を得ることができました。一消費者として相談してみて、プロからいただく情報は大変有益です。

 お客様相談室に限らず、たとえばスターバックスのような場所では、店員さんがおいしいコーヒーの飲み方や豆の知識を教えてくれることもあります。自分が一人のお客様であることを活かして、興味のある分野の話を聞いてみるのも一つの手段です。

 一消費者として見えている製品やサービスの価値は、ほんの一部です。作り手には、様々な思いや付加価値があるので、それを聞くことにより、消費者としての自分の製品への目線と、作り手の目線のギャップを見ていくことにインサイトを発掘するヒントが隠れています

4. 友達や家族に商品への不満を聞いてみる

 多くのマーケターが、既に行われていることではないでしょうか。商品の良い部分や、悪い部分をコストをかけずに客観的に知りたいと思ったとき、友達や家族というのは大変貴重な存在です。返品や返金などの対応にならない限り、お客様はなかなかお伝えしてくれません。一方、友達や家族は率直に意見してくれるので、その声に耳を傾けることが何より大切です。耳の痛いことを言われることもありますが、そこから目を背けず、深くヒアリングしてみましょう。意外と新しい発見をすることがあります。このとき、いつも偏ったメンバーにヒアリングするよりも、異なるタイプの人たちと話すことをお勧めします。私の地元は兵庫県なのですが、東京の友人と地元の友人では、たとえ、同性・同世代であっても、同じ製品に対する反応が大きく異なることがあります。

5.他社製品のコンセプトを書いてみて、インサイトを逆算してみる

 まったく新しいコンセプトの新商品が発売されたときに、どうしてこの商品を発売したのか考えてみると、面白い発見があります。特に同カテゴリーの競合製品は、消費者のインサイトを発見するヒントにあふれています

 発売にあたっては商品サイクルのトレンドを理解しておく必要があります。たとえばWeb業界であれば、プロダクトをエンジニアが実装してリリースするまでの時間は、企画が固まっていれば十分な人員体制がいる状態で2~3ヵ月あれば良いでしょう。一方消費財などはモノづくりであり、審査もあるため、1年以上かかることもザラです。そのため競合を意識するというより、世の中全体のトレンドを見て発売しています。

 こうした販売サイクルを踏まえたうえで、競合はなぜこの商品を出したのかを考えてみて、どういうインサイトをもとにメッセージを打ち出しているのか調べてみましょう。

 ここで大事になってくるのが、自分が一人のターゲット消費者になりきることです。マーケターの目線でこの製品は良い/悪いと判断するのではなく、消費者目線で、どのようなインサイトに応えようとしているのだろうと考えると、自社製品の開発時にはなかった発見をすることができるかもしれません。マーケターの視点と消費者としての視点をどのように切り替えることができるかを、考える必要があります。

6.あらゆる広告や製品を見て、何のインサイトに訴えようとしているかを想像してみる

 世の中には広告があふれており、マーケターにとってはありがたいことに勉強できる機会がたくさん落ちています。営業職の場合は他社の営業シーンを見ることはほとんどできませんが、マーケターであれば、マーケターの最終アウトプットである広告を見て勉強することができます。

 特に企業にとって投下予算が非常に大きいテレビCMやタクシー広告は、チャンスです。15秒もしくは30秒の短いテレビCMの間に伝えようとしているメッセージの裏側には、ターゲットのインサイトが隠れている可能性があります。もし、広告を見てハッとしたのであれば、それはあなたのインサイトを突いている証拠です。同じようなことを、自社のブランドに当てはめて考えてみて、消費者インサイトのヒントを探ってみてください。

次のページ
7~8:マーケターが持っている「既成概念」を外す工夫も必要

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この記事の著者

木村 元(キムラ ツカサ)

株式会社Brandism
代表取締役

ユニリーバに2009年に入社。約12年間、ラックスやダヴなどのブランドマーケティングを経験。国内を中心とした360°のプロモーションから、グローバルのブランド戦略や製品開発まで、幅広く従事。ロンドン本社にてダヴを担当し、グローバル全体のブランド戦略設計をリードした後、20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/38512

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