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単なるデジタル対応だけでは顧客から見放される 新しい「4P」で時代の変化に備えよ【お薦めの書籍】

 コロナ禍によって、デジタルシフトにあらかじめ対応できていた企業とそうでない企業の明暗が大きく分かれました。しかしながらコロナ禍に関わらずテクノロジーは常に進化し、生活者の価値観や行動も日々変わっています。デジタル対応からさらに駒を進めなければ、企業は再び淘汰の波に沈んでしまうかもしれません。今回ご紹介するのは、マーケティング思考のアップデートを促し、企業の“次の一手”の道標を示す一冊です。

マーケティングの4Pをアップデート

 今回紹介する書籍は『マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント』。著者は、顧客時間の奥谷孝司氏と岩井琢磨氏です。

『マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント』奥谷孝司、岩井琢磨(著)日経BP 1,980円(税込)
『マーケティングの新しい基本 顧客とつながる時代の4P×エンゲージメント』
奥谷孝司、岩井琢磨(著)日経BP 1,980円(税込)

 奥谷氏は良品計画のWeb事業部長として「MUJI passport」のプロデュースなどを担当したことで知られる人物。一方の岩井氏は博報堂DYグループにおいて製造業・流通サービス業界を中心とした部署横断型の事業変革プロジェクトなどを手がけてきた人物です。顧客時間は両者が共同で立ち上げたマーケティング支援会社。DXやOMOなどのチャネル変革を得意とし、独自のメソッドでクライアントの事業構想・開発・運用を支援しています。

 本書は両者が「マーケティングの新しい基本」を実務家目線で提示する一冊です。前半では、コロナ禍とデジタルシフトによって顧客の消費行動や価値観に生じた変化を解説。その上で従来型の「4P」の限界を示すとともに、後半では「エンゲージメント4P」という新しいマーケティング思考の有用性を語ります。

 著者が「デジタル革命の後半戦」と語る向こう20年に備え、企業のマーケターは4Pのフレームワークをいかに再考・進化させれば良いのでしょうか?

商品基点から顧客とのつながり基点へ

 著者は従来型のマーケティング思考「フロー型」と表現し、その特徴を次のように述べています。

極論すれば「良い商品を創り、競争力ある価格設定をして、他社とは異なるプロモーション展開を行い、顧客利便性が高い店舗の良い棚に置く」ことだった(P.65)

 この思考においては4Pのうち「Product」が基点となり、販路である「Place」に向けて価値を移転させていくことが求められます。今は多くの企業でPlaceと「Promotion」のデジタル化、すなわちEC化とデジタルマーケティングが進められていますが「Productや『Price』を変えない前提に立っている限り、競争には勝てない」というのが著者の考えです。

 そこで著者が提示するのは「エンゲージメント4P」の考え方です。前述のフロー型に対し「循環型」と表現するこのモデルの基本的な考え方を、著者は次のように解説しています。

デジタルを活用した独自の顧客接点(Place)によって顧客とのつながり(Engagement)を築き、それに基づいてパーソナライズした最適な商品サービス(Product)・課金方法(Price)・促進施策(Promotion)を実現する(P.70)

 つまり、エンゲージメント4PにおいてはProductもPriceも可変的であり、基点となるのは商品ではなく顧客とのつながりだというのです。

単なるデジタル対応だけでは顧客から見放される

 さらに著者は顧客IDを活用したデータドリブンなCRMの重要性にも触れ、顧客とのつながりだけでなく“個客”への最適な価値提供まで見据えなければ「その企業は『つながり続けたい』と思ってもらえずに顧客の日常から消えていく」と警鐘を鳴らしています。

 コロナ禍によって企業の明暗がはっきりと分かれた2020年。企業に突き付けられたのは「真に顧客基点に立って、自らのビジネスモデル変革を追究してきたか」という根源的な問いだといいます。

 本書ではナイキやアマゾン、ウォルマートのような海外の先進企業だけでなく、ニトリや登山アプリ「YAMAP」など国内の事例も掲載。単なるデジタル対応にとどまらず、マーケティング思考やビジネスモデル、さらにはデータの収集方法や組織戦略の変更に着手した企業から、新しいマーケティングのエッセンスを学べます。従来の方法論をアップデートして実務に活かしたい考える方は、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/28 09:30 https://markezine.jp/article/detail/38564

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