SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

NewsPicksが抱えていた「解約率」問題を解決 CSO杉野氏が取り組んだ2つのこと

マスプロモーションとエントリーポイントへの投資を強化

──当初のミッションであった解約率の改善に成功しました。次はどのような戦略に舵を切っていくのでしょうか?

杉野:ユニットエコノミクスにおけるCAC(コスト)とLTV(顧客生涯価値)のバランスを見て、LTVが伸びてきたため、CACのほうにようやく投資できる段階になってきました。そこで本年からは、NewsPicksをより多くの人に知ってもらうためのマーケティングに、本腰を入れていきます。

 具体的には、まずマスプロモーションへの投資を行います。デジタルではなくマス広告に注力していく理由としては、まずNewsPicksの認知率を上げていく必要があると考えたためです。少し古い調査データとなりますが、2年前にサービス認知率を調べた際、NewsPicksの認知率は39%ほどでした。この限られた層にデジタル広告を当てても、すぐに頭打ちになると思いますので、まずはマスプロモーションに注力していきます。

 またもうひとつ、こちらは既に取り組みを開始していますが、「エントリーポイント」へのアプローチをより強化していきます。これまでも学割などは一応用意していたのですが、訴求にはあまり力を入れていませんでした。というのも、学生や20代前半といった若い世代の方は、当然課金などが少ないので、ROIが見合わないと判断していたのです。しかしこの3年間でLTVは伸びてきましたし、かつ期待LTVできちんと将来の数字も見えるようになったため、未来を見越して投資判断を行えるようになったのです。

 エントリー層へのアプローチでは、「学生タブ」を追加したり、学生アンバサダーの「StudentPicker」という制度を始めたり、主に20代の学生から30代前半のビジネスパーソンの方々に向けて「JobPicks(ジョブピックス)」といった姉妹メディアを作ったりしています。

NewsPicksの姉妹メディア「JobPicks」。「みんなでつくる仕事図鑑」をコンセプトに、職業のリアルな情報を伝えている。
NewsPicksの姉妹メディア「JobPicks」。「みんなでつくる仕事図鑑」をコンセプトに、職業のリアルな情報を伝えている。

どんな戦略も「やりきること」が重要

──最後に、今後の展望をお聞かせいただけますか?

杉野:3年間様々な取り組みを行ってきたわけですが、一貫して大切にしていたのは「やりきること」です。コンサルティング時代によく経営者の方と事業ポートフォリオを作って議論することがあったのですが、ポートフォリオを作ると、上手くいっていない事業が浮き彫りになりますよね。そういった場合、「これは事業そのものがダメなのか?」「それとも、真剣に取り組んでいないから上手くいかないのか?」といった議論につながります。前者であれば撤退で良いのですが、後者であれば経営判断ができないか、間違えやすくなります。真剣にやれば利益拡大の可能性があるかもしれませんし、やっぱり事業そのものがダメな可能性もあります。

 つまり、経営戦略において、正しい経営判断をするためには、ポートフォリオでマッピングする以前に、なによりも各事業や各施策を「きちんとやりきる」ことが最も重要なのです。そうしてはじめて、意味のある資源配分ができます。

 そのため私自身も、経営戦略において重要だと判断した施策があれば、必ずやりきることを大切にしています。2022年は、先に挙げたマスプロモーションとエントリーポイントへのアプローチ、まずはこの2つに関して、オーナーシップを持ってきちんとやりきっていきたいと思います。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
マーケティングを経営ごとに 識者のInsight連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/03/25 06:30 https://markezine.jp/article/detail/38577

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング