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会員500万人突破!「創作の街note」の今と、これから【note8周年事業発表会レポート】


キリン、SmartHR……法人の活用事例

 法人でもnoteの活用が進んでいる。2022年4月時点で法人の導入件数1万2000超。業種や企業規模に問わず利用されているという。

 例えば、2019年にnoteを開設したキリンホールディングスは、小岩井乳業などのグループ各社のストーリー紹介を展開している。パナソニックグループの久住CEOは2021年の社長就任と同時にnoteを開設。広く社会やグループの従業員に向けて自身の言葉で発信している。上場企業の経営者が個人名義で開設するのは、これが初めての事例だ。

 SmartHRはオープン社内報をnoteで発信。社員向けの情報を社外の人にも読める記事にすることで、採用にも効果が出ているという。静岡県にある製造機械メーカーのイシダテックはユニークな切り口の社員紹介を発信し、noteを始めてから社員が増え、採用の応募者も増えているという。

 法人向けサービスでは、出版社の編集者が情報発信の悩みを解決する「note Brand Story」を2021年より文藝春秋と開始。さらに、今年は講談社と光文社も参画が決定しており、読者の関心とつながるコンテンツの創出を目指す。

noteからの情報発信で収入を得る人は10万人

 ここからはクリエイターサクセスを具体的な数字で見ていきたい。

 なお、noteのクリエイターには趣味で創作をしている人や、noteで生計を立てている人、note以外で創作活動を行いながら、noteで発信をしてファンを増やしている人もいる。また、成功とは必ずしも金銭だけでなく、創作の維持や読者や仲間との出会い、転職など様々なものがある。様々なケースがあることが前提の上で、今回はクリエイターエコノミーの文脈で金銭面にフォーカスする。

 noteで発信をして収入を得ている人が、2022年1月に10万人を突破した。これは2019年対比で410%の増加だ。

 2021年の年間売上トップ1000クリエイターに目を向けると、平均売上は667万円。2019年対比で107%増加しているという。また、累計売上で1億円以上の収入を得ているクリエイターが、2022年3月現在で28人存在する。

 「noteの街に住人が増えることで、収入面でも大きな成功を得るクリエイターさんが増えています」(加藤氏)

 個人クリエイターのコンテンツを購入する人も増えている。販売されるコンテンツはテキストだけでなく、音声ファイルなど多岐にわたり、コンテンツ総購入数は3,600万件。5年前の2017年に比べると30倍以上に増加している。また、有料コンテンツ購入者の1ヵ月当たりの平均金額は2,300円だという。

 また、noteには読者がクリエイターに任意の金額で金銭的な支援ができる「サポート機能」がある。2021年のサポート機能による年間累計金額は2億円を超えた。

 noteの街では発信を通じてクリエイターが収入を得たり、活動の幅を広げたり、新しいファンに出会ったりする機会が広がっているわけだ。

クリエイターの収入課題を解決する新サービス

 「クリエイターの収入には課題がまだまだあると思っています。noteのサービスの中でみなさんが定常的に収入を得るようになってきてはいますが、もっとその幅を広げていきたいと思っています」と加藤氏は語り、同社CXO深津貴之氏とともに、開発中の新サービスを紹介した。

サブスクリプション機能

 「noteメンバーシップ」は月額サブスクリプションができる機能だ。noteには既に「マガジン」というサブスクリプション機能がある。その違いを、「マガジンをより多くの人たちに拡張した機能がnoteメンバーシップ」だと深津氏は説明する。

同社 CXO 深津貴之氏
同社 CXO 深津貴之氏

 マガジンは、ユーザーに読み物コンテンツを定期的に提供することで対価を得るサービスだ。つまり、比較的長い文章を定期的に執筆できるクリエイターにフォーカスされている。

 「もっと広い方にもいろいろなサブスクリプションの手段、あるいは収入の手段が使えるようになることが必要だと考えていますので、より広く、誰もが継続収入を得られるようなクリエイターになるための手段として今回のサービスが位置づけられています」(深津氏)

 noteメンバーシップの活用には様々な活用が考えられる。深津氏と加藤氏はいくつかの利用イメージを紹介した。

漫画家・小説家など「コンテンツを収益化したい」:未公開の作品を限定公開したり、作品についての感想を集めたりすることができる。
動画配信者・ミュージシャン・芸能人など「ファンだけに情報を届けたい」:作品についてファンと話す場を作ったり、日々の活動についての感想を聞いたりすることができる。
NPO・公共施設など「活動を支援してもらいたい」:日々の活動を発信したり、ファンクラブを作ることができる。
写真家・イラストレーターなど「作品データを配布したい」:プログラムやデータを配布したり、作成データを販売することができる。
ビジネスパーソンなど「セミナーを公開したい」:講座を開催したり、限定のSNSグループに招待したりできる。
美術館・飲食店など「リピーター向け特典を提供したい」:メンバー限定割引をしたり、毎月会員向けに情報を発信したりすることができる。

 「我々が想像しない使い方を発明してくださる方が、たくさんいらっしゃるのではないかと思います」と加藤氏は可能性の幅を示す。

 なお、メンバーシップは2022年夏開始予定で、noteの流通総額1億円まで手数料0円キャンペーンが実施される予定だ。

noteクリエイターサポートプログラム

 「noteクリエイターサポートプログラム」は、その名の通り、クリエイターの活動を支援するものだ。note内で優良な活動をしているクリエイターや、クリエイターの増加に寄与する活動をするプロジェクトなどを進める人が対象で、申請内容に応じて金銭や教育、リソースのバックアップなど様々なサポートを提供する。

 「金銭的なことを理由に挫折することを防ぎたい」と深津氏。ダイレクトな作品作りだけでなく、オープンソースをするためのサーバー代が心もとないなど、周辺環境のサポートも対象となるという。

 発表会は加藤氏の「誰もが創作をはじめて続けられるようにすることをひたすらやってきていると思いますし、これからもぶれずに、進んでいきたいと思います」という言葉で締めくくられた。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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MarkeZine(マーケジン)
2022/04/21 18:31 https://markezine.jp/article/detail/38858

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