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今日から始めるBtoBマーケティング

組織からの孤立、The Modelの導入 初心者BtoBマーケターがぶつかる課題と解決策【前編】

 顧客接点の中心がデジタルに変わりつつある昨今。対面営業を重視してきた多くのBtoB企業が、旧来の手法を改める必要に迫られています。本連載は、自らがBtoBマーケティングを実行する立場にありながら、BtoB企業向けのソリューションも提供するアドビの祖谷考克氏が執筆。第2回では、社内の“ファーストペンギン”としてBtoBマーケティングの世界に飛び込んだものの、新しい業務プロセスの定着や他部門との連携などがうまくいかず悩むマーケターに向けて、実践的なアドバイスをお伝えします。

BtoBマーケターに寄せられる大きい期待

 私がアドビのデジタルエクスペリエンス事業でBtoBのマーケティング活動を統括するようになり、2年が過ぎました。これまでを振り返って確実に言えるのは「自分たちのマーケティングを進化させよう」という意欲に燃える仲間が、アドビ社内だけでなく社外にも増え続けていることです。その中にはマーケティング部門を新設した企業のマーケターだけでなく、以前からマーケティングに取り組んできた担当者もいます。

 どの企業のマーケターにも共通して言えるのは、経営幹部からの高い期待を背負っているということです。私が会話するクライアントの経営幹部からも「まだまだこんなものじゃない」というメッセージが伝わってきます。マーケティングがビジネスの成長に貢献できる余地は大きいのです。期待に応えるマーケターの皆さんも熱心そのもの。「自分の仕事を通じて自社のビジネス成長に貢献したい」と考える仲間が増え続けていることを、私はとても嬉しく思います。

 彼らの多くは、社内からの抜てきをきっかけにマーケティングの仕事を始めた人たちです。経営視点で考えると、マーケティングへの投資から成果を早く得るために外部からマーケティングのプロを採用することも検討したいところですが、日本の労働市場において、既に実績を出したBtoBマーケターの人口は需要に全く追いついていません。そのような背景から、内部育成が現実的な選択肢となるのです。

リーダーに求められる変化への柔軟性

 若手社員が中心のチームや、自社のビジネスを熟知しているベテラン社員が中心のチームなど、BtoBマーケティング組織のメンバー構成は企業によって様々です。若手はテクノロジーへの苦手意識が少なく、ベテランにはこれまで築いてきた社内ネットワークを利用できる強みがあります。どちらのチームにもメリットはあるのですが、補うべきデメリットがあるのも事実です。

 若手中心のチームの場合、今日のマーケティングとしてのあるべき姿を提案することに長けていますが、時として組織内の政治力学に負けてしまうことがあります。一方でベテランチームの場合、無意識に以前の成功体験からくるバイアスに囚われてしまうのです。

 若手中心の場合は役員の、ベテラン中心の場合はテクノロジー部門からのサポートを得られるようにすることで、失敗のリスクを小さくすることは可能です。そしてどちらの場合も「リーダーが変化に対する柔軟な姿勢を持ち合わせているか」が、今後の取り組みの成否を左右します。

 パンデミック後「変化への柔軟性」は非常に重要な成功条件となりました。組織としても個人としても「コンフォートゾーン(居心地のいい環境)」から抜け出すチャレンジができるか。クリエイティビティと言い換えてもいいと思います。その姿勢がなければ、不確実性の高い今のビジネス環境で新しい仕組みを定着させることは難しいでしょう。

 マーケティングリーダーには、バランス感覚も必要です。初心者マーケターほどリード獲得数を増やすことばかりに集中してしまう傾向がありますが、何も考えずにリードをセールス部門に渡すことは、その後の社内におけるマーケティングチームの存在意義を揺るがしかねません

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マーケティング目標だけを追うマーケターは組織で孤立する

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この記事の著者

祖谷 考克(ソタニ タカヨシ)

アドビ株式会社 DXインターナショナルマーケティング本部 執行役員 本部長

広告会社にてマーケティング領域全般のプロデュース業務に約15年従事。ブランドマーケティングだけでなく、デジタルコミュニケーション戦略立案、施策最適化など、デジタル領域でのプラニング/プロデュース業務も担う。2013年よりアドビに...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/05/20 09:00 https://markezine.jp/article/detail/38892

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