若年層は「デジタル広告がなぜ必要か」を理解している
成人消費者の約7割が「広告回避戦略を1つ以上使用している」という調査結果(※1)がありますが、これは多くのマーケターにとって不安や懸念を覚えるものかもしれません。
前提として、ここで言う「広告回避戦略」とは、Amazon Prime Videoのように広告のない動画サービスを利用する、1つあるいは複数のデバイスに広告ブロッカーをダウンロードするなど、様々な方法を指しています。たとえば、今年Twitchが行った「テレビの視聴に関する調査」によると、若年層(18~34歳)の半数以上が過去1ヵ月の間に有料ストリーミングサービスを利用したと回答しています。
これらだけを見ると「若年層は広告を嫌い様々な方法で広告を回避している」という理解になるでしょう。ですが、実は、若年層は私たちが考えているように、ただ広告を嫌っているわけではありません。
2022年2月にTwitchで実施した広告に関する調査(※2)では、若年層の53%が広告を「自分が楽しんでいるコンテンツにアクセスするために必要なものだと思う」と回答しています。つまり、コンテンツへのアクセスと、それにともない発生する広告表示という価値交換について、基本的に理解し、受容し、そして感謝していることがわかります。
また、先述の調査の中で、若年層は「広告は楽しむことができると考えている」という意向も示しています。実際に、「通常使用するメディア、サービス上で目にする動画広告やスポンサー動画を楽しんでいる」と回答した人の割合は、成人(18~64歳)平均よりも28%高かったのです。さらに、「好きな動画広告やスポンサード動画について他人と話す」と回答した人の割合も21%高く、広告が会話の種、きかっけになっているとも言えます。
ポジティブに受け入れられる「広告体験」に必要な4つのポイント
若年層が広告に対して比較的高い受容性をもっていることはわかりましたが、やはりすべての広告が受け入れられるわけではありません。若年層に受け入れられる広告には、「関連性」「双方向性」「体験共有」「ニーズに合った広告であること」の4つのポイントがあります。
まず「関連性」について。この関連性には多くの意味がありますが、基本的に広告には自分の興味・関心が反映されていてほしい、というのが若年層の考えです。この関連性を実現するひとつの手段として、所属するコミュニティに向けて直接語るというアプローチが考えられます。
若年層は成人平均と比較すると、「何らかの方法で広告主がコミュニティにリーチすることを期待する可能性」は約2倍、「お気に入りの有名人やインフルエンサーを広告内で目にすることを期待する可能性」は49%も高い、という調査結果もあります。
次に「双方向性」についてですが、若年層はブランドの世界観を共有し、自分たちを取り巻く世界を真摯に反映しているブランドに惹かれる傾向があります。つまり、彼らはこの意味において広告主に多くのことを期待しており、中でも、広告が様々なアイデンティティを含有するものであることを強く期待しています。具体的には、自分自身のアイデンティティ、個人の価値観、コミュニティが反映され、サポートされるといったことです。
(※1)出典:エデルマントラストバロメーター2020年特別レポート:ブランドトラスト2020年11月グローバルデータ
(※2)Twitchの広告態度調査Maru/Blue。2022年2月23日~3月14日まで実施。