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JO1、BE:FIRSTが次に打つべき施策は? ビルボードデータで読み解くファンダムのアクティビティ

ファンダムのアクティビティから検討できる施策とは?

 続いて、JO1とBE:FIRST共に好調なSTRM指標における、楽曲ごとに色分けした面グラフによって、より詳細なファンダムのアクティビティについて考察します。

【図9】JO1の楽曲別STRMポイント
【図9】JO1の楽曲別STRMポイント(クリックすると拡大します)
【図10】BE:FIRSTの楽曲別STRMポイント
【図10】BE:FIRSTの楽曲別STRMポイント(クリックすると拡大します)

 図9のJO1よりも図10のBE:FIRSTのほうが楽曲ごとのポイント獲得期間が長く、同時期に複数曲でポイントを上げることができています。JO1は、短期的で重複がほぼ無いことから、“ホームラン型”となり、強固なファンダムを生かしたアーティスト主体のプロモーションアプローチに加えて、大きな割合を占めるTWを活用し楽曲にフォーカスして聴取期間を延ばす施策を検討する時期にあるといえるでしょう。

 BE:FIRSTは、“ヒット量産型”の兆候はみられるものの、各曲の重複がまだまだ少なく、継続的なポイントを上げているMVからの送客を意識して複数聴取を継続的に促す施策が必要となります。このように、オーディション出身、ということで一様なプランを策定するのではなく、それぞれのファンダムのアクティビティに関しデータを用いて多角的に分析することで、有効な施策を実施していくことが可能となり、アーティストの持続的な成長を促すことにつながります。

データの分析と運用がマーケットの発展を促す

 BTSを例に挙げるまでもなく、サザンオールスターズやMr.Children、玉置浩二やMISIAなど、トップアーティストは、楽曲起因型とアーティスト起因型の混交型ファンダムを保有しています。

 ヒット曲とネームバリュー、どちらが先行しても構いませんが、そのふたつを併存させることがアーティストやアーティストが生み出す作品を、私たちが長く楽しめるようになるのは間違いないといえるでしょう。

 デジタルマーケットの拡大に伴い、データへのアクセスが容易になった昨今、1種類の分析結果について過度にフォーカスするあまり、短絡的かつ近視眼的な施策を選択してしまうことは、他業種でもあり得る話だと思います。しかし、そのことがファンダムやブランド、コンテンツなどプロダクトの疲弊を招き、一過性のブームで終わってしまうとしたら、本末転倒ではないでしょうか。そのためにも、複数のデータを俯瞰し、多角的に分析することで、現状を把握しマーケティングプランを策定することは重要で、それがマーケットの恒常的な発展を促すことになると考えています。

 以上述べてきたように、ファンダムのアクティビティにフォーカスすることで、変わり続ける“ヒットのありかた”を把握することが可能です。そして、マーケットに自律的に関与するファンダムを活性化し、拡大を維持することが、マーケティングの成否に直結することは、エンタテインメントの分野に限らないと思います。その観点において、多角的な視野を備えたデータマーケティングは今後ますます重要となることでしょう。

本稿でご紹介したような、ビルボードジャパンのデータを活用してデータ分析を学ぶ「エンタメデータアナリスト講座」も開催予定です。ご興味のある方は関連リンクよりご確認ください。

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この記事の著者

礒崎 誠二(イソザキ セイジ)

株式会社阪神コンテンツリンク ビルボード事業部長 ビルボード総研グループ担当部長
東京外国語大学スペイン語学科卒。92年キティ・エンタープライズ入社、同年クラブチッタ川崎に出向、ライヴ制作、招聘業務等を行う。96年退社後、原盤制作、著作権管理、商品流通管理等、多岐の業務に携わる。06年阪神コンテンツリンク入社後、ビルボー...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/07/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39345

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