多くの企業がTwitterよりInstagramの運用に注力
まず、テテマーチが実施した「Twitter運用担当者向けの調査」と「Instagram運用担当者向けの調査」をいくつかの指標で比較しながら、企業のSNS活用実態を把握していきましょう。
最初に「SNSを通して得られる成果の貢献実感」について見てみます。Twitterにおける成果実感を、11段階中「3以下」と回答した担当者は全体の55%で「7以上」と回答した担当者は15%でした。一方、Instagramの成果実感を「3以下」と回答した担当者は18%、「7以上」と回答した担当者は43%となっており、Twitterの成果実感がInstagramよりも低いことがわかります。
次に、それぞれのSNS活用にどのくらいリソースを投下しているのか、見てみましょう。Twitterアカウントの運用にかける時間は「1週間に2時間以内」が全体の63%でした。一方、Instagramの場合は「1週間に2時間以内」の割合が29%。多くの企業がTwitterより長い時間をInstagramの運用に費やしていることがわかります。
また、Twitterアカウントの運用人数として最も多く挙がったのは「1人体制」で、全体の52%を占めるのに対し、Instagramの場合は「1人体制」が全体の26%程度。約4分の3の企業に「2人以上」のInstagram運用担当者がいるのです。
さらに、月次予算においても大きな違いが。Twitterは「1万円未満」が最多で全体の45%を占め、「20万円以上」の回答割合は10%に留まりました。一方、Instagramは「5万円以上」が全体の45%を占め、「20万円以上」が23%という結果が示されています。
最後に、それぞれの媒体で運用担当者がどのくらいデータと向き合えているのか、確認してみましょう。Twitterアカウントの運用において、データ分析の取り組みがないことを示す「0」が事業会社・支援会社ともに最頻値となっています。一方で、Instagramは事業会社の最頻値が「6」支援会社の最頻値が「7」と、分析の進捗度合いに大きな差があることがわかりました。
さらに、Twitterアカウントの運用で投稿別インサイトデータの抽出・集計に全く取り組んでいないことを示す「0」が最頻値であるのに対し、Instagramは事業会社の最頻値が「8」支援会社が「10」と、データの蓄積においても歴然とした差が見られたのです。
機能拡充がInstagramのビジネス活用を後押し
以上の調査結果から、TwitterはInstagramに比べて運用担当者の人数、向き合える時間、投下できる予算などのリソースが限られていることや、多くの企業がTwitter上を通じたデータの集計・分析に取り組めていない実態が明らかとなりました。Twitterの成果実感がInstagramよりも低い背景には、これらの事実が影響していると言えるのではないでしょうか。
なぜTwitterとInstagramで、企業の注力度合いにここまで差が生まれるのでしょうか。その理由はInstagramの「ビジネス活用しやすい環境」にあると考えます。テテマーチがInstagramのマーケティング活用支援を始めた2015年は「外部リンクが設定できない」「情報の拡散性が低い」「世界観重視で投稿ハードルが高い」などの理由から、Instagramはビジネス活用しやすい環境とは言えませんでした。
その後、ショッピング機能やストーリーズを通じた外部サイトへの誘導機能が実装されるとともに、欲しいものや行きたい場所を探す検索媒体としての需要が拡大。企業がマーケティングツールとしてInstagramを活用するための環境が整っていったのです。この環境整備が、運用リソースの増加やデータ分析への取り組みを後押ししたと言えます。