コミュニティーにおけるKPIの考え方
コミュニティーに関してはKPIをどう設定したらいいのかわからないという意見も多くあります。HubSpotが現在重視しているのは、コミュニティーメンバーそれぞれに合った関わり方に寄り添った結果、コミュニティーに「価値を感じてもらえているか」です。そのための指標として、主に以下の5点を重点的に確認しています。
- 有料顧客のコミュニティー参加率
- 参加メンバーからの投稿数
- 新規参加者数
- 月次の訪問者数
- コンテンツの閲覧数
有料顧客のコミュニティー参加率をKPIに入れている理由は、前述の「違和感ない体験の流れ」に関係しています。有料のプロダクトを使っている顧客が、コミュニティーでアイデアを得たりや課題の解決を経て、プロダクトの使い方を向上させ、それが事業の成長にも寄与していく。この価値の循環を重要視するという考えのもと、まずは有料顧客の参加率を計測しています。将来は「どれだけお客様の成功につながったか」という観点も入れられるよう成長させていきたいと思っています。
「正解」がない時代に求められる、コミュニティーの形
「今なぜ、コミュニティーが注目されているのか」。
その背景には、激動の時代の中で、「正解」がない、もしくは「正解」とされている取り組みができないという実情があるのかもしれません。「正解」は、時代や個々の背景によって違います。パンデミックによってビジネスのあり方や働き方が大きく変化している今、唯一の「正解」ではなく、自分や自社にとっての「最適」な答えを見いだせる場が求められていると感じます。
そしてコミュニティーはまさに、質問に対して多くのアイディアや解決策が提示され、自分で「これいいな」「やってみようか」と選ぶことができる場です。自分と同じような悩みを抱えるビジネスパーソンとのつながりをもたらす場所として、学びを得る場所として、コミュニティーの役割は今後より一層大きくなっていくのではないかと思います。
「Community-led Growth(コミュニティーに牽引された成長)」という言葉があります。コミュニティーという共同体の質を高めていくことが、結果として運営企業の成長につながる。この考え方は今後はもっと重視されていくのではないでしょうか。
「日本語版HubSpotコミュニティー」は立ち上げから2年足らず。まだまだ成長の途中ですが、コミュニティーだからこそ提供できる価値は、ここまで述べてきた「つながり」であると実感しています。チャンピオンとして他のメンバーを支援してくださる方が増えたり、運営側からのアンケートに回答してくれる方が増えたり。各メンバーそれぞれに合った方法で、得意なことを共有できる仕組みがうまれつつあることをうれしく感じていますし、コミュニティーをより一層、メンバー同士が成功を支援し合える場へと成長させていきたいと思います。
明日から使える思考のヒント
参加する人それぞれが心地よく参加ができるコミュニティーは、顧客と企業の「つながり」を強くし、結果的にマーケティング施策を超えて「企業の成長」をリードする土壌となる