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「インバウンドの思想」をマーケティングに~実践事例とその思考プロセス~

HubSpotが作る、インバウンドなコミュニティーとは?企業成長につながる“心地よい場所”の作り方

それぞれのメンバーの「心地よさ」を起点に細分化されたコンテンツを作る

3)コンテンツの企画

 5段階のコミュニティーメンバー像が明確になったら、次に具体的なコンテンツの企画を行います。ここでは、フライホイールの「Attract」「Engage」「Delight」のステージと上述のマップを掛け合わせてプラニングを行います。それぞれのフェイズにおける施策の例をご紹介します。

コンテンツ企画例1)「Attract」×非メンバー
HubSpot初心者向けのまとめ記事 の作成

 非メンバーに、まずはコミュニティーを知っていただき、価値を感じてもらうための施策です。HubSpotを導入したばかりの顧客に、サポートチームやカスタマーサクセス担当から案内してもらうようにしています。初心者向けのまとめ記事には、公式のプロダクトページには記載のない細かい操作手順や、ニッチな質問への回答を網羅しています。知りたいときに自分で解決する「セルフサーブ」の需要は当社の顧客の中でも高まっており、コミュニティーに初めて出会う非メンバーに「有益な情報がある場所」と認知してもらうことを目的として実施しました。

コンテンツ企画の例2)「Engage」×受動メンバー
「いいね」だけで投票できるアンケートの実施

 HubSpotと連携してほしいツールをアンケート形式で募集した施策です。コメントでツールを挙げていただくことに加え、コメントへの「いいね」で投票ができるような仕組みにしました。50件以上のコメントに、80を超える「いいね」の反応があり、この施策をきっかけに実際に連携に至ったツールもあります。受動メンバーとの関わり度合いを高めていくには、小さな成功体験を提供することが必要だと考えます。必ずしも「受動メンバー」から「能動メンバー」の階段を登ることが一律のゴールではありませんが、簡単なアクションで双方向のコミュニケーションができて、求めていた情報が得られるという体験は受動メンバーとコミュニティーの関係性を強くするきっかけになるはずです。

コンテンツ企画の例3)「Delight」×チャンピオンメンバー
イヤーブックの制作

 コミュニティー設立2周年を記念し、過去1年間でコミュニティーに大きく貢献したメンバーと投稿のご紹介をした施策です。コミュニティー運営を担うチャンピオンメンバーには、このような形で定期的に当社からの感謝とコミュニティーへの貢献を周知する場所を設けています。

「点」ではなく「線」でつながりを作る

 ここでは例として3つの施策をご紹介しましたが、非メンバーにはAttractの施策のみ、チャンピオンメンバーにはDelightの施策のみが有効というわけではありません。それぞれの段階のメンバーに対して、「Attract」「Engage」「Delgiht」のフライホイールを回し続けることが重要です。1つ1つの施策は小さい取り組みかもしれませんが、メンバーそれぞれに合わせたコミュニケーションの積み重ねと、そこで取れるアクションをご自身で選択できるようにしておくことは、コミュニティーの熱量を生み、企業への愛着へと繋がっていきます。

 そしてこの熱量や愛着は、コミュニティーという「点」だけで終わるものではありません。この連載でご紹介しているマーケティング施策と同じで、コミュニティーの運営を考える際にも、前後の体験同士が違和感なく、自然に結びついていることは重要なポイントです

 上記の施策例にもあるように、サポートからコミュニティーへ、コミュニティーから無料資料ダウンロードへ、というような、カスタマーがコミュニティーに辿り着くまでと、コミュニティー加入後の体験価値をどれだけ高められるかが重要だと思います。企業への愛着や信頼と、カスタマーにとってのプロダクトの価値の高まりが良い循環で回ることが、顧客の成長と結果的に自社の事業の成長につながるのではないでしょうか。

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コミュニティーにおけるKPIの考え方

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「インバウンドの思想」をマーケティングに~実践事例とその思考プロセス~連載記事一覧

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この記事の著者

森 夏海(モリ ナツミ)

HubSpotコミュニティーマネージャー。

全日本空輸株式会社で客室乗務員として勤務した後、カスタマー サポート スペシャリストとしてHubSpot Asiaに入社。2019年より日本語版のオンライン ユーザー コミュニティーを運営するコミュニティーマネージャーを務める。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/09/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/39938

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