商品の検討集団を後押しするレビュワー
一方、レビュワーは自分自身ではなく商品・サービスそのものに焦点を当てており、実際の使用感、商品のメリット・デメリットの評価、使用方法などを紹介していきます。商品ジャンルに対する、その人の知識やレビューの深さ、編集スタイルの違いが表れます。
フォロワーからはこの商品ジャンルに対する知識やレビュースタイルが好き、参考にしたいという期待値がありますが、フォロワーではなく商品に焦点が当たっているため、購入検討のために情報を探しているフォロワー外の人にもリーチし影響を与えやすい特徴があります。
そのため、マーケティング上は購入イメージの具現化・購入の後押しを期待できるということになります。フォロワー外にも広がる可能性があるため、レビュワーのフォロワー数よりも得意な商品ジャンルにおける平均エンゲージメント数などを重要視すると良いでしょう。
特にInstagramでは、検討材料として有用な投稿は「保存」される傾向が高く、保存された商品は最終的に購買に至る確率が高いことも確認されています。レビュワーの投稿は、消費者にとって検討材料として有用な投稿になりやすいため、購買行動に影響を与えやすいインフルエンサーと言えます。


インスタグラムでブランドの投稿を保存した人に質問(n=71)。
レビュー投稿を保存した後、33.8%の人が実際に商品を購入したと回答。
インフルエンサーマーケティングの良いとこ取り設計を
ここまでの話を表にまとめます。ライフスタイラーとレビュワーはインフルエンサーとしてのコンセプト、フォロワーからのニーズ、マーケティング上期待できる効果、消費者の購買行動ジャーニーにおける機能、選定する際のポイント……これらすべてが異なります。

これらに加え、YouTube、Instagram、TikTokなどいずれかのプラットフォームを選択し、掛け算をすることになります。直面しているマーケティング課題によって優先順位をつけて使い分けるのが良いでしょう。
ただし先述の通り、より多くのインフルエンサーから複数の情報がリーチしたほうが消費者の態度変容は起きやすいため、良いとこ取りで両タイプのインフルエンサーをキャスティングするのが理想です。
インフルエンサーマーケティングは効果の見えづらい取り組みです。マス広告のように大量にリーチできるわけではないので、売上全体に対するインパクトは実感しづらいですし、Web広告のようにどれだけの人数がコンバージョンに至ったかを正確に測定することもできません。
一方で、私たち1人ひとりが毎日のようにSNSでの情報接触に影響を受けているのは事実です。マス広告一辺倒ではリーチできない若年層も増えています。おすすめは、今回ご紹介したようにまずは理想的な購買行動ジャーニーを描いてみて、そこにライフスタイラーやレビュワーを網羅的に試してみる。その上で、アンケート調査などを通じてインフルエンサーマーケティングが自社の商品において効果的に機能するかどうかを確認した上で、本格的に取り入れるかのジャッジするのが良いのではないでしょうか。
実際に扱う商品との相性もあるかと思いますが、インフルエンサーという言葉で一括りにできないほど多様化が進んでいます。マーケティング起用での健全な発展が進むことを期待しています。