アニメ放送前後とは異なる⁉ 映画公開後のファン層の比較
映画公開後のファン層を、『鬼滅の刃』ファン(2021年1月調査 3,724人)、『呪術廻戦』ファン(2022年1月調査 1,311人)と定義し、分析を行った。なお『SPY×FAMILY』は映画公開がされていないため、分析から除外している。アニメ放送前後の分析と同様に属性・価値観・好きなブランドの3つの視点から比較を行った。
図表5の通り、『鬼滅の刃』の映画公開後のファン層は、平均年齢は40代、アニメファン層として特徴的であった学生の割合は全体と比較しほとんど変わらない8.59%であった。

また、課金したことのあるサービスでは、動画サービスは高いものの、音楽・電子書籍・ゲームは全体と近しい傾向となっている。一方で、女性の割合やSNSの投稿・反応数は全体と比べて高く、アニメ放送後のファン層と同様の傾向が見られる。アニメ放送後のファン層と同じような特徴は残しつつも、普段アニメを見ないような層にも流入したことから『鬼滅の刃』の映画は大ヒットし、ファン層はより一般層に近い分布となっていると考えられる。
価値観は図表6の通り、アニメ放送後のファン層で特徴的であった「自分が気に入れば、ブランドや評判は気にならないほうだと思う」の項目が、『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』ともに低く、逆に「ブランド物を持つことが好きだ」といったブランドを気にする傾向が全体と比べて高くなっている。このことからも映画放映前後でファン層が異なっていることがわかる。

図表7の通り、遊んだことのあるゲームアプリでは「モンスターストライク」が『鬼滅の刃』と『呪術廻戦』の両方で挙がっている。

「モンスターストライク」はどちらの作品ともコラボしており、アニメのキャラクターをゲーム内で使用できることが、ファン層に好まれた一因と考えられる。好きな音楽アーティストは、アニメ放送時と同様に関連のあるアーティストが好まれ、『鬼滅の刃』は依然としてLiSAが、『呪術廻戦』は映画の主題歌を担当したKingGnuが上位となっている。
よく購入する食品・飲料は、映画公開後に『鬼滅の刃』とコラボすることになる「コグミ(UHA味覚糖)」や、『呪術廻戦』とコラボすることになる「板チョコアイス(森永製菓)」などがよく購入する商品として上位にランクインしている。コラボ自体はこの調査の後であるが、映画放映後のファン層が好んでいる商品とコラボできていることがわかる。