「変化を起こせる」組織にしていくために
――コスモエネルギーホールディングスでDXを進める中で、理想としている、もしくは育成しようとしているのはどのようなデジタル人材でしょうか?
これに関しては、マーケティング領域に特化して考えても、何か特定の条件や人材像はありません。スキルやノウハウよりも、結局一番大事なのは「物事を解決したい」という気持ちではないでしょうか。たとえば、今やっているマーケティングキャンペーンがうまくいっていないときに「じゃあ、どうしよう?」と思えるか。「逆に考えると、新しいやり方を試せるチャンスかもしれない」と思えるかどうか。そして、実際に行動に移せるかどうか。このようにポジティブに「やってみよう!」と考えられるような気持ちの部分が大事だと思います。
あとは、私は何事も掛け算だと思っていて、これはキャリアや人材においても同様です。その意味で、今重要なのは「デジタル×〇〇」というように、デジタルの先にさらに掛け合わせられるスキルを持っていることだと思っています。この掛け合わせる部分は、「デジタル×マーケティング戦略」かもしれないし、「デジタル×MMM(マーケティング・ミックス・モデリング)」かもしれない。「デジタル×アナリティクス」でもいいわけです。会社について、エネルギー産業についてよく知るプロであることは前提として、何か1つ特定領域の武器を持てるように、組織としてキャリア支援やトレーニングの機会を用意していきたいと考えており、この部分は人事ともかなり細かく情報共有をしながら一緒に動いています。
――一つ目の「チャレンジしやすい組織作り」に対して、マネジメント層から働きかけられることはあるでしょうか?
「物事を解決したい」「やってみよう!」という気持ちの醸成については、チームのリーダーがそれを促すような雰囲気を作ってあげることがまず大事ですよね。加えて、「チェンジを起こせるような組織でないとダメだよね」「もっとこうしていかなければ」という気づきの場を与えることも必要だと思っており、これに関しては組織的に働きかけられることがいくつかあります。
一つは、社外のパートナーと常に相談できる、情報交換をできる良好な関係を築いておくことです。マーケティングは、時代の流れに合わせて考えなければいけない部分も大きく、常に新しい情報や知識を取り入れていく必要があります。そうした知識や情報をインプットしてくれる存在として、やはり社外のパートナーは重要です。色々な角度・領域で相談できるよう、パートナーと良好な関係性を築いておくことは、マネジメント層の意識すべきところだと思います。
二つ目は、変化を起こそうと思ったときに、それを後押しするものとして「データ」がやはり必要になります。データがあることで、より迅速に対応できたり、判断できたり、あるいはより深く考察できるようになるからです。データ基盤の構築は、現場の社員だけではなかなか行えないところなので、ここもマネジメント層がサポートできる部分だと思います。
5Cをモットーに楽しく・ポジティブにチェンジを起こしていきたい
――この連載では毎回、「人材育成・組織強化」に向き合う中でいつも大事にされていること、モットーや金言を聞いています。ルゾンカさんは、何かありますか?
そうですね。私は、Cosmo’s Vision Houseで掲げている「5C」をあげたいと思います。特に「Chance」「Challenge」「Change」の3つは私自身のライフワークとしていつも心がけているものです。実はこの前中学生の頃に書いた卒業文集を見ていたら、この3つの言葉を当時から書いていたんですよ。本当に5つとも全部大事だと心から思いますね。
――今日の取材の中で「イネーブラー」という言葉が何度か出てきましたが、ルゾンカさんは、コスモエネルギーホールディングスの中で「チェンジメーカー」のような存在でいらっしゃると思います。DXを進めるにしても、楽しく・ポジティブにチェンジを起こしていこうと働きかけられているのがとても印象的でした。
人が何かを頑張れるのは、「楽しくてやりたい!」と思うときと、「これは本当にやばい……」と思ったときのどちらかです。当たり前ですが、「やばいから頑張らなければ」という風にはしたくないですよね。楽しく仕事をしているときのほうが、色々な工夫やアイデアが生まれてくると思いますし、時間や心の余裕はみなさんのワークライフバランスにも大きく影響してきます。楽しく学びながら、仕事ができる環境、会社にしていきたいと思っています。
