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日常の「お買い物」から、サステナブル社会の実現を目指す 花王グループと電通の挑戦

スモールスタートで継続性を持たせる

MZ:Shopping for Goodプロジェクトを含め、サステナビリティをテーマにしたマーケティング施策を行う上でのポイントを教えてください。

大森(電通):まず、我々マーケティングに携わる者が、認知から購入に向かうにしたがって細くなっていくマーケティングファネルを、むしろ逆に太らせていくイメージを持つことだと思っています。プロジェクトに心から賛同する志の高いメンバーで始めるスモールスタートですね。ファネルというよりボーリングの先頭のピンになるイメージでしょうか。このピンに熱量があれば、あとは一気に倒れていくと思っています。

MZ:今後サステナビリティがより一層根付いた社会となるために、花王グループはメーカーとしてどのような貢献ができると思われますか。

後藤(花王グループカスタマーマーケティング):サステナビリティは若年層を中心に着実に根付いてきていますし、その流れは不可逆でしょう。そこで、我々としても最も身近な生活行動のひとつである日常のお買い物を通して社会全体で共存・共生を考えるきっかけを数多く作っていきたいと考えています。今回のプロジェクトのように、想いを同じくするメーカー、小売企業、プラットフォーマーと一緒に進めて、その輪が年々大きくなるよう取り組んでいきたいと思っています。

マグマのような「一人」に訴求する

MZ:村上さんはShopping for Goodプロジェクトにどのような発展を期待されていらっしゃいますか?

村上(シニフィアン):このプロジェクトはまだ完成形ではなく、今後一層発展させていかなければならないものだと考えています。サステナビリティをテーマにした取り組みにおいては、100万人に訴求するよりも、マグマのように熱いパッションを持った一人に訴求し、共感してもらった方が圧倒的に価値があると思います。

 同じことはスタートアップ企業に対して投資判断をする際にもあてはまります。引き続き成長していく企業というのは、創業時の顧客がたった2~3人でも、その2~3人が企業の発信する世界観やストーリーの圧倒的な共感者になっているのです。大勢の声を聞きすぎては、革新的なサービスや社会を新たな方向に導くような企業を生み出すのは、実は逆説的に難しい側面があるのです。

 そして、共感者を得るためには「共感を得るミッション」とそれを実現し得る「質の高いプロダクト」が必要です。その二つが重なれば、感度の高い消費者は自ずと自社の存在を見つけ出してくれます。

 Shopping for Goodプロジェクトでいうと、花王グループさんが良い商品を作って、共感性の高いミッションをベースにしたその商品を取り巻く良質なストーリーを電通さんと一緒になって伝える。そして、そこに共感しファンとなった人から、徐々に熱が広がっていく。その後の広がりという意味では最も効果的なマーケティングが実現できるのです。そうして世の中全体でサステナビリティへの意識が醸成されれば、企業においてもサステナビリティを意識したプロダクト設計や商品のストーリーを伝えるマーケティング手法が確立されていき、さらに広がりを見せるのではないでしょうか。

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この記事の著者

宮田 浩平(編集部)(ミヤタ コウヘイ)

MarkeZine編集部。香川県出身。2016年に時事通信社入社、広島支社、岐阜支局で勤務。2019年から広告・マーケティングの専門メディアで編集者。主にPR・ブランディングやプロモーション領域の取材を担当。2022年5月から現職。企業のサステナブルやDE&Iを軸にした取り組みに興味。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/11/04 09:00 https://markezine.jp/article/detail/40202

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