期限は2023年7月。早期にGA4に慣れていく必要がある
2022年3月16日、Googleは2023年7月をもってGoogle Analytics(ユニバーサルアナリティクス:UA)の計測を停止すると発表。Webマーケティングやメディア運営に関わる人にとって、次世代版のアクセス解析ツールGoogle Analytics4(GA4)への移行は避けられない事柄となった。
Faber Companyは、SEOツール「ミエルカ」をはじめ、Webマーケティングを支援する様々なツールとリソースを提供する企業。約1900社に導入が進む「ミエルカ」のプロダクトオーナーを務める月岡氏は講演冒頭で、「GA(UA)とGA4は全然違うもの。早めに移行して、GA4による評価指標や方法を決めておかないと困ることになる」と警鐘を鳴らした。
GA(UA)はセッション単位でアクセスを評価するのに対し、GA4ではユーザー単位での評価に変わる。つまり、「30日前にアクセスして、今日コンバージョンした」といった行動がユーザー単位で取得できるということだ。
GA(UA)ではPV、イベント、セッション、CVなど様々あった項目が、GA4ではすべて「イベント」に統一される。名前が同じ項目もあるが、定義が変更となったものもあるので、GA(UA)とGA4では数値がずれる。
ユーザーの考え方も変更になった。GA4では、アクティブユーザーの考え方を採用しており、ブラウザが一番上での表示になっていない場合、アクティブユーザーとしてカウントしないという計測ができるようになっている。さらに直帰率やエンゲージメントに関しても考え方が異なり、単純比較できない状態なのだ。
「僕もGA4を初めて触ってみて、最初は『難しいな』という印象を受けました。これから少しずつ慣れていかないと、後々分析やレポートで困ることになりそうです」(月岡氏)
GA4を活用できればコンテンツの価値はより評価しやすくなる
活用に慣れは必要なものの、GA4では、オウンドメディアやコンテンツの価値は評価しやすくなったと月岡氏は語る。その理由は3つある。
(1)セッションをまたいでユーザー単位で評価
ユーザー単位で捉えることが可能となるため、セッションをまたいだユーザーの動きを追っていくことで、コンテンツ接触のしばらく後にコンバージョンしたものもカウントすることができ、コンテンツ価値を評価しやすくなった。
(2)スクロールや動画再生などアクションが取りやすい
スクロールや動画再生数、再生率を新しくデフォルトで計測できるようになった。ユーザーがコンテンツに触れた上で起こしたアクションが見えやすくなっていることも、評価のしやすさにつながる。
(3)ユーザー満足度を測りやすい
GA4ではエンゲージメントを「10秒以上の滞在」「2ページ以上の閲覧」「CVイベント発生」と定義している。アクティブ時間やエンゲージメントはコンテンツやWebサイトにおけるユーザー満足度をわかりやすく把握できる指標となる。
オウンドメディア・コンテンツを評価するレポートの作成例
GA(UA)にはデフォルトのレポート画面があり、様々な角度から見ることができた。一方でGA4は、デフォルト画面がかなりシンプル化されている。「探索」というメニューにおいて、「セグメント」「ディメンション」「指標」の項目をそれぞれ引っ張って、ユーザー自らレポートをカスタマイズしていかなければならない仕様だ。
「企業様によってこの項目があった方がいい、これは要らないといった選択は自由にできます。しかし自分で評価軸をつくっていかないと何も見ることができない状態になったので、なかなかハードルが高いと感じる方も多いと思います」(月岡氏)
月岡氏はGA4でオウンドメディア・コンテンツを評価する4つのレポートを具体的に例示した。「ディメンション」「指標」にどの項目を入れるかなど、これからGA4を活用する目安になるはずだ。
(1)集客
まずは集客レポートのつくり方だ。「ディメンション」に、セッションのデフォルトのチャネルグループと参照元メディア、「指標」には総ユーザー数、セッション、エンゲージのあったセッション数、セッションあたりの平均エンゲージメント時間、直帰率、CVを入れる。
こうすることで、流入元の特徴、エンゲージにつながる流入元を把握することができる。
(2)初回獲得
2つ目は初回獲得のレポートだ。「ディメンション」には、ユーザーの最初のデフォルトチャネルグループと参照元メディア、「指標」は総ユーザー、リピーター数、ユーザーあたりのイベント数、ユーザーエンゲージメント、CVを入れている。
こうすることで、新規獲得につながっている流入元を把握することができる。また、リピーター数を見ることで、どのチャネルから来た人がリピーターになっているのかも評価することができるため、初回獲得においてどのチャネルに注力すればいいのかを追うことが可能になる。
「流入が多いが、エンゲージが低い」コンテンツの改善優先順位が見える
(3)ランディングページ
ランディングページのレポートでは、「ディメンション」には、ランディングページを入れる。するとランディングページのパスが出てくるため、それに対して「指標」(値)として総ユーザー数、セッション後、エンゲージメント、セッションあたりの平均エンゲージメント時間、CV入れる。
これに加え月岡氏は「サイトによってはページタイトルを指標に入れてもいい」と補足。このレポートによって見えてくるのは、「流入が多いが、エンゲージが低い」といったコンテンツがある場合の、改善の優先順位だ。
「10秒以上滞在しない、2ページ以上を見ない、コンバージョンをしないなどの状況を見ながら、改善すべき点の優先順位を考えることにつなげられます」(月岡氏)
(4)時系列レポート
4つ目は時系列レポートだ。「ディメンション」には日付を設定。「指標」には、総ユーザー数、リピーター数、新規ユーザー数、CVなど、見たい項目を任意で選ぶ。時系列レポートはその名の通り、1日ごとに時系列でそれぞれの項目がどのように増減しているのかがわかる。
プレスリリースやテレビ露出などの広報イベントが起こったタイミングにおける各指標の増加率や、基本的に土日に減少するなどの傾向を見つけることが可能となる。
※GA4の各種項目名や設定画面などは講演当時のものです。今後仕様等が変更になる可能性があります。
これからのコンテンツに求められること
以上のようにGA4レポートの活用例を紹介した上で、月岡氏は「これからコンテンツの重要度がもっともっと高まる」と前置きし、その理由を語った。
「今後Cookie活用が難しくなり、広告のあり方も大きく変わっていく中で、ファーストパーティーデータの獲得は必須。それは、自社サイトのコンテンツを増やしていかないとできないことです。
これから新しいプラットフォームがどんどん生まれていきます。そこに分散的にコンテンツを出すことでリーチを広げることはできますが、それではフローのコンテンツにしかなりません。注目を集めたとしても一過性のバズで終わってしまうのです。そのためコンテンツをストックで捉える重要性が増しています。
さらに、企業の専門性や信頼性が伝わるオウンドコンテンツを中心として、会社やブランドのファンを増やしていくことで、事業の成長に寄与できます」(月岡氏)
では、事業成長につながるような「これからのコンテンツに求められること」とは何か。月岡氏によれば、「ユーザーの“知りたい”に応える」「E-A-T(専門性・権威性・信頼性)」「よいユーザー体験の提供」「(結果としての)エンゲージメント」が重要となるという。
これらのうち、今から取り組めることとして「ユーザーの“知りたい”に応える」「よいユーザー体験の提供」がある。
たとえば、 ユーザーの“知りたい”を把握することで「何を書けばいいのか」が明確になり、コンテンツ制作を外部委託する際も指示出しの精度が高まり、フィードバックの基準もわかりやすい。
また、SEOツール「ミエルカ」や、ユーザーの行動分析・CVR改善ツール「ミエルカヒートマップ」を活用して、ユーザーの満足度を定期的に測り、SEO効果を最大化することができるという。
ミエルカ&ミエルカヒートマップの無料トライアル受付中
検索意図の自動分類や検索順位計測、ユーザー行動分析など、オウンドメディアやコンテンツ施策に欠かせない機能が満載。カスタマーサクセスによる伴走サポートで、Webマーケティング初心者でも安心です。
重要性高まるコンテンツをマーケティング施策の中心に
「ミエルカ」では現在、GA(UA)との連携によるページ改善機能を搭載しているが、現在はGA4への対応も進め、クライアントへの各種支援を整備しているところだ。
「今日のお話で、GA4ではレポートをつくるのが大変だというお話をしましたが、ミエルカではそれにかかる煩雑な作業をしなくてもよいような機能設計を行い、年内にベータ版リリースを目指して開発中です。また、GA4移行支援サービスも行っており、GA4に関する無料セミナー動画も配信しています」(月岡氏)
GA(UA)の停止に備え、GA4の移行準備はできるだけ早期に始める必要がある。GA4はオウンドメディアやコンテンツの価値をより評価しやすい仕様になっているが、使い方に多少の工夫が求められる。
また、事業成長やブランディングにおいて、コンテンツの重要性は今後より増していく。月岡氏は最後に「コンテンツをブランドのマーケティング施策の中心に据えていただけると大変嬉しいです」と、コンテンツやオウンドメディアの価値を改めて見直し、施策を推進する重要性を語った。