SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Autumn

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究

パナソニック ホールディングスの新ブランドスローガン「幸せの、チカラに。」はいかにして生まれたか

グッズドミナント型のマーケティングはもう通用しない

——長年マーケティングに従事されてきた森井さんからご覧になって、マーケティング業界はどのように変化しているとお感じですか。

 マーケティングというものの定義が大きく変わってきていると感じます。昔はモノを売るための1つの方法論でしたが、近年はSaaSビジネスのように「サービスを売る」という概念が出てきました。モノだけでなく、サービス全体が価値を生んでいる「サービスドミナントロジック」という考えですね。当社もモノだけを売っているわけではありません。最近では「Yohana」という家事支援サービスをスタートしました。

 組織の大きさだけでなく、このようにモノとサービスが組み合わさった状況が、組織をより複雑にしていると感じます。マーケティング面で見ても、コトラーなどが提唱した「グッズドミナント型」の考えは、もう通用しなくなってきているのではないでしょうか。物心一如にも通じますが、グッズドミナント型とサービスドミナント型のマーケティングを組み合わせていくことが求められるでしょう。

 では、どのようにしてサービスドミナントロジックをマーケティングに取り入れていくのか。その答えは、データの中にしかないと私は考えます。とにかくデータを集めることが大切です。

ペルソナで戦略を立てるのは、やめなはれ

 戦略を立てるために、ペルソナを考えたり、リサーチをしたりしているマーケターも多いですが「やめなはれ、そんなことをやっても答えは見つかりませんよ」と伝えたいです。仮説を立てるためにペルソナを描くのは結構ですが、それだけではソリューションになりません。昔のマーケティングはセンスを駆使して、ブラックボックスの中でメディアを使いながら仮説を検証していくものでした。SNSが浸透した今の時代は、ブラックボックスが存在しません。検証に使うべくは、センスではなくデータベースです。そういうプラットフォームやアーキテクチャーを作ることのできる人がマーケターだと考えます。

 仮説を立てるのは良いですが、検証する際は一旦忘れるようにしましょう。「購入された」というエビデンスがあるのなら、そこから遡って考えることが大切です。データドリブンマーケティングという言葉が定着する前、私はこの手法をバックキャストマーケティングと呼んでいました。置かれている立場をデータで分析してバックキャストしていくこと、そして未来を予測するためにAIを使っていくことが求められていると思います。

——最後にパナソニック ホールディングスの展望をお聞かせいただけますか?

 松下幸之助は「パーパスの実現には250年かかる」と言っていました。幸之助が物心一如を語り出したのは約100年前なので、道程はまだ半分にも至っていません。したがって、私たちはあと150年かけて物心一如の理想社会を追求し続ける必要があります。環境問題については2030年と2050年にマイルストーンを設けているため、着実に取り組み達成します。社会に約束した以上、守らないといけません。パナソニック ホールディングスとして「幸せの、チカラに。」とPanasonic GREEN IMPACTの実現に向けてアクションし続けます。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2022/11/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/40560

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング