サイト回遊率が4倍に向上したコメ兵のECサイト
様々な商品のレコメンドを可能にするawoo AIの特徴を具体的に示すため、吉澤氏はコメ兵のECサイトを例に挙げ、導線を詳しく説明した。
「コメ兵のECサイトの検索タブの下に『関連キーワードで探す』という表示があり、複数のハッシュタグが並んでいます。この表示こそawoo AIによるものです。たとえば、とあるユーザーが『#ショルダーバッグ レディース』をクリックしたとしましょう。関連商品に目を通すも、惹かれるものがないユーザーは、新たに表示された『#ルイ・ヴィトン ショルダーバッグ』のハッシュタグをクリックします。すると、ルイ・ヴィトン商品のみに表示を絞ることができます。ここでルイ・ヴィトンの財布を偶然見つけ『財布も良いかもしれない』と思い始めたユーザーは『モノグラムがより際立った商品はないか』と考えるかもしれません。最終的にユーザーは『#ルイ・ヴィトン』をクリックし、財布や時計も含めたルイ・ヴィトン商品から欲しいものを探し始めます」(吉澤氏)
このように、ECサイトを回遊しているうちに、ユーザーは自身が本当に欲しい商品に気づくわけだ。吉澤氏は「最初はショルダーバッグを探していたユーザーに対して、興味・関心を喚起し様々なジャンルの商品をレコメンドする。awoo AIを使えば、まさにウィンドウショッピングに近い買い物体験をECサイト上で提供できる」と強調する。
コメ兵はawoo AIの導入後、サイト回遊率が4倍以上向上したそうだ。ユーザーの体験向上だけでなく、サイトの「回遊率」「離脱率」「直帰率」「滞在時間」「CVR」などの改善も見込めるという。
「商品理解」に基づく機能で個人情報の問題も解決
ここまでで吉澤氏が再三強調したのは、awoo AIの機能の大きな特徴が「顧客理解」ではなく「商品理解」に基づく点だ。
「一般的に『パーソナライゼーション』とは、Cookieなどを活用して顧客のWeb行動を解析することで顧客理解を深め、その人に最適な製品をレコメンドすることをいいます。当社では、顧客ではなくその商品の特徴を踏まえて商品を理解し、それをハッシュタグという形でECサイトに表示させて、商品の探しやすさや購入の体験価値向上を実現しています」(吉澤氏)
そのため、awoo AIを活用することでCookieに依存せずともECサイト上の顧客体験の向上につなげられるという。また、ユーザー行動に依存していないため、初回訪問時のユーザーに対するコールドスタートも解消できるというのだ。
また、AIが自動生成したキーワードをハッシュタグとしてのみならず、サイト内検索のサジェストとして利用したり、トップページの人気タグとして表示させたり、ハッシュタグをサムネイル化して画像レコメンドに利用したりすることも可能だという。「顧客体験に資する様々なレコメンド機能にキーワードを応用できるのもawoo AIの強み」と吉澤氏は説明した。