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ECは買うだけの場所ではない!アダストリアが考える、EC活用のポテンシャルと未来

自社プラットフォームとツール、技術をオープン化し、コミュニティを作る

 3つ目の「外部を巻き込むサービス」とは一言でいうと、自社ECプラットフォームのオープン化である。ある程度会員数を抱えた自社ECサイトは、今後様々な可能性が出てくると田中氏は推測。アダストリアは今、会社全体で「グッドコミュニティ共創」というテーマを掲げているという。

 日本が人口減少局面にあり、さらには世界情勢の変化によって原価高騰が起こったり、物流コストが増加したり、あるいは毎年のように災害が起こったり。企業のサービス提供に対する風向きは厳しい中にある。その中では、自社が自社でだけサービスを展開していくことによる広がりには限界がある。そう考えたアダストリアは、他社と組むという方法をとったのだ。

 「自社ECサイトをプラットフォームとして他社にも使っていただこうという思想で、自然な流れとしてグッドコミュニティ共創を描き、スタートしました。アダストリアの”グッドコミュニティー共創”に共感いただける企業にご参画いただいて、一緒にコミュニティを作っていく。要はECサイトを買うだけではなく、共創してもらう場所としたのです」(田中氏)

 先述した、店舗スタッフがスタイリングなどを発信する「STAFF BOARD」でアップするツール自体も、アダストリア独自開発ツールとなっているが、それをコミュニティに参画した企業にもオープンに提供しているという。

 Instagram、YouTube、TikTok、TwitterなどのSNS連携も駆使し、効果測定も独自スキームで行うことで、企業にいる「人(スタッフ)」の価値、ブランドの商品価値を広げていくことが可能なツールとなっている。

 自社の顧客やツールを自社だけで囲うだけではなく、よりオープンにシェアすることで、他社の店舗スタッフにもメリットを創出。また顧客にとっても体験価値を高められるコンテンツ作りにつながっている事例である。

 「他社様の売上・利益への貢献はもちろん、他社様と一緒に新しい商品やサービスを開発するなどの展開も考えられます。こんな実験を繰り返して、本気でグッドコミュニティを共創していくことで、ECの未来がより広がると考えています」(田中氏)

海外やWeb3.0を視野に変化を続けるおもしろさ

 最後にアダストリアの展望として、田中氏は今後の取り組みについて言及した。

 「ECのポテンシャルは日本だけではありません。我々はもちろん海外にも力を入れていきます。もう1つが、Web3.0です。スマホや4GというWeb2.0の世界ですら、世の中を変えたと思います。通信スピードと技術の連関は大きいです。その中で今出てきているメタバースやNFTといったWeb3.0領域などは、まだまだな部分はあるかもしれませんが、我々はすごく注目しているところです」(田中氏)

 実際に最近アダストリアは、クリエイターの方とともにメタバース上で使えるNFTスキンやアバターを販売している。「販売してみると様々な発見がある」と田中氏は感心するとともに、次の価値に対応するための実験を繰り返している。

 最後に田中氏は、視聴者にメッセージを投げかけてセッションを締めくくった。

 「世の中の状況や技術が進化していくからこそ、デジタルはおもしろいのです。アダストリアとしてもそれをポテンシャルと捉えてチャレンジしていきます。僕自身、よく言い聞かせているのですが、“ECは買うだけの場所ではない”と定義することで発想の転換をして、未来の価値を創っていくことが大事だなと思います」(田中氏)

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40937

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