STEP6:デプスインタビュー(N1インタビュー)
前回の「プライオリティ」の工程において、決定したターゲット群のユーザーに対して、実際にインタビューを実施します。ここで注意してほしいこととして、せっかく前のプロセスでターゲティングしたのに、ターゲットとまったく関係ない顧客にインタビューをしてしまうことです。デプスインタビューは実施できる人数が限られているので、しっかりと絞り込んだターゲットに集中してヒアリングを行うことが重要です。
ライフスタイルや、全般的な価値観などもヒアリングを行いますが、最終的には、次のプロセスの「タスクマップ」の工程につながるよう、製品やサービス周りに関するインタビューを行っていきます。
デプスインタビューの目的は、定量調査では把握しにくい⽣活環境やライフスタイル・価値観・⾏動パターンなどリアルな⽣活者像を把握するための、1対1のインタビューを実施し、現在の行動やインサイトを発掘することです。
定量調査を行っていく中で、顧客のことをわかっているようで実はよくわかっていないということは度々あります。
たとえば定量調査で「〇〇%の人は、1ヵ月に5,000円まではスキンケア商品にお金を使う」ことがわかったとします。この5,000円という数字は支出を増やせる可能性があるのかないのか、そしてなぜ5,000円なのかは定量調査だけではわかりにくいです。
インタビューをしていくと、所得の都合で5,000円しか使えないのか、スキンケア商品以外のコスメにお金をかけているからスキンケア商品に5,000円しか使えないのかで話が変わってきます。
先ほどのアルコールの例でいくと、週に3回飲酒をしている30代の女性が、20代からの習慣でそうなっているのか、コロナ禍に習慣が変わったのかでもまったく飲酒に対する考え方が変わってきます。もし直近で飲酒のスタイルが変わったのであれば、そのきっかけや動機を聞いていくとおもしろいインサイトが見えることもあります。
インタビュー自体は、「インタビュー オンライン」などで検索するとたくさんのサービスがあり、話を聞きたい顧客を見つけることは容易でしょう。あとは、聞きたい内容をフロー化して、二人一組でインタビューを実施することをお勧めします。一人はとにかくインタビューに集中して、顧客の深層心理を引き出せるよう丁寧に会話を続けてください。もう一人は事前に準備をしているインタビューフローにメモを取って、あとでメンバーがすぐに見返せるようにするのが良いでしょう。
デプスインタビューでの一言一句はインサイトを発掘する上で必要不可欠です。一番もったいないのは、何を発掘したいのかの目的設計や事前準備をせずになんとなくインタビューを実施してしまったり、せっかくインタビューしたけれども録画やミニッツが残っておらず、後々メンバーが振り返れないようになっている状況です。顧客の声を一言一句聞き漏らさず、インサイトを見つけるヒントにしていただきたいです。