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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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リゾームマーケティングの時代

幸せは、ビジネスの成功の礎 「クオリティ・オブ・ソサエティ」の実現へ向けて


 日本マイクロソフトにおいて広告事業(Microsoft Advertising)を率いる有園雄一氏。新年が始まるにあたり、メディア・広告業界がよりよい方向に進んでいくために、企業や個人に必要な視点について伝えたい。

電通総研で議論した「クオリティ・オブ・ソサエティ」

 2023年、MarkeZineでの最初のコラムは、雪絵ちゃんの話から始めたいと思う。

 彼女は、病弱の特別支援学校にいた。多発性硬化症、別名MSという神経性の難病を中学2年生のときに発症し、手足が突然動かなくなった。MSとは、脳の中が固くなっていき、目が見えにくくなったり、手足が動かなくなっていったりする病気のようだ。彼女は、闘病の傍らエッセイや詩を多く書き残した。

 私は、彼女に会ったことはない。山元加津子さん(愛称:かっこちゃん)という石川県立明和養護学校(特別支援学校)の元教諭の本で、彼女のことをはじめて知った。かっこちゃんによると、彼女は口癖のようによく言っていたそうだ。

「私はMSになってよかったよ。MSになったからこそ、わかったことがいっぱいあるし、MSになったからこそ、今周りにいる人に出会えたよ。かっこちゃんに出会えたよ。もし、MSでなかったら、違ういろいろな人、素敵な人にも出会えたと思うけれど、私は今、周りにいる人がいい、かっこちゃんがいい、だからこれでよかった。目が見えなくなっても手足が動かなくなっても、人工呼吸器をつけないと息ができなくなったとしても、決してMSであることを後悔しないよ。MSの雪絵を丸ごと愛していくよ」

—『本当のことの扉:宇宙はわきあがる想いで満ちている』山元 加津子著

 一人ひとりが幸せであること。よい社会とは、結局、一人ひとりが幸せに生きている社会だと、私は思う。

 昨年の末まで私は、電通総研の仕事を頂いていた。電通総研では、「クオリティ・オブ・ソサエティ:『人』が生きがいを感じられる『社会』へ」というテーマを掲げている。この電通総研のテーマを研究する過程で、私は、彼女のことを知ったのだ。

 この電通総研のテーマは、様々な観点から論じることができるし、様々な意見があってしかるべきなのだが、私は、そもそも「人」が幸せを感じることができなければ、生きがいを感じることも困難だと思っている。どんな境遇の人間でも、幸せで生きがいを感じられる社会であって欲しい。

 私自身、感謝を忘れてしまう時もあった。ちょっとしたことで、すぐに不平や不満をいい、弱音を吐く。彼女のおかげで、幸せはいつも自分の中にあると気づくことができる。そして、そのことに感謝できる自分でありたい。

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不運にも不幸にも、すべてに解釈の余地がある

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/01/19 09:53 https://markezine.jp/article/detail/41017

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