不運にも不幸にも、すべてに解釈の余地がある
感謝と幸福感の関係については、科学的な根拠もあるようだ。
「感謝の心を持つことは、幸福感を高め、挫折から立ち直る力をつけ、抑うつとストレスをやわらげ、愛する人たちとのきずなを深めるのに役立つ。実際、これは多くの研究で証明されている。感謝の心を持つと、大きな幸せに包まれ、人生の質が向上する。」—『GRATITUDE 毎日を好転させる感謝の習慣』スコット・アラン著
科学的には、脳内の幸福感を高める物質であるドーパミンの分泌が、感謝の心を持つことで促進される。人生のよい面に感謝するたびに、脳はドーパミンを分泌する。その結果、気持ちがよくなり、さらに楽しいことを考え、ポジティブになっていく。
感謝とは、結局、すべてを前向きに解釈することだと思う。この宇宙のすべてを前向きに解釈することができれば、幸せになるしか選択肢がない。
ハーバード大学でポジティブ心理学のクラスの教鞭を取るショーン・エイカー氏によれば、「自分は幸せだ」と思える人ほど、成功するとのことだ。
「ポジティブ心理学と脳科学の一〇年以上にわたる画期的な研究によって、成功と幸せの関係は、普通に考えられている矢印とは逆だということが、明解に証明された。すなわち、幸せは「成功に先行する」のであり、単なる「成功の結果」ではない。」
—『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』ショーン・エイカー著
「だから幸せを先送りすれば、脳がもつ「成功の可能性」を狭めてしまうことになる。逆に、脳をポジティブで前向きな状態にすれば、モチベーションが高まり、効率的に働ける。挫折から立ち直る力もわき、創造性が増し、生産的になる。仕事はずっとうまくいくようになる。この事実は、何千という科学的研究によって証明されている。」
—『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』ショーン・エイカー著
つまり、「まず、あなたが、幸せである」ことが先決なのだ。社会的に成功したら幸せになるのではない。お金持ちになったら幸せになるのでもない。成功のあとに幸せがあるとは限らない。
そうではなくて、「今、この瞬間、無条件に」あなたは幸せになれる。そうじゃないと、良い結果はついてこない。幸せが先で、成功が後なのだ。成功は幸せな人のところにやってくる。「笑う門には福来る」だ。
人間は、往々に、過去に縛られて生きてしまう。そして、未来を思い煩い、不安に駆られる。過去が過ぎ去っていない以上、未来は明るくならない。未来はいまだ来ていないのに、「こんな自分ではダメだ」と未来を悲観し、不安に駆られ悪循環に堕ちていく。
ここには、大きな転回が必要だ。劇的なコペルニクス的な転回だ。これまで経験した過去の出来事も、これから起こる未来の出来事も、すべて良きこと。自分にとって意味があること。悲しく辛い出来事からも必ず学びがある。痛みにも意味がある。不運にも不幸にも意味がある。すべてに解釈の余地がある。
過去にも未来にも囚われないことで、はじめて精神が自由になり、今を生きることができる。今に集中することができる。その結果、おのずと仕事の生産性も上がるのだ。それは幸せな時間になる。そして、その幸せな時間のあとに、何らかの成功もついてくる。仕事もうまくいくようになる。
生きがいを感じられるとは、今を生きること。今を充実して生きていないとき、生きがいを感じられるはずがない。
