「メーク」はなぜ消えたのか
佐藤:ちなみに「メーク」という言葉も2000年代には頻出するのですが、その後、登場回数が減っていきます。
塩谷:これは、2016年ぐらいから表記を「メイク」に統一したんです。より検索されやすい言葉を意識するようになったのがこのころなんですね。「メーク」より「メイク」で検索する人のほうが多い。
そういう意味では、「プチプラ」もそうですね。CanCamではずっと「プリプラ」と言っていたんですよ。「安くてかわいい=プリティプライス」ということで。でも、世の中にプチプラという言葉が浸透してしまったので、だったらそちらに合わせようということになりました。
兵庫:「コーデ(コーディネート)」も、2000年代前半組は「CD」と呼んでいました。若い人たちが「コーデ」と言い出すようになって、そちらに変えたんでしょうね。
酒井:もうひとつ目に付くのが、2010年代に多く見られた「キュン」という言葉です。最近、「キュンです」という言い方が流行っていますが、その走りはCanCamだったということでしょうか?

加藤:元々、「胸キュンコーデ」みたいな使い方はあったと思います。それが、2010年代に入ると、「このスカートにキュン」みたいな、文末のハートマークみたいな使い方をするケースが増えてきました。私も、CanCamに異動してきた当時、「キュンってこういう感じで使うんだ……」と、新鮮に感じた記憶があります。
塩谷:「キュンです」の走りなのかどうかはわかりませんが、「キュンするメイク」とか「キュンキュンする顔になりたい」みたいな使い方もよくしていましたね。「キュン」の使い方も、その時々で変わっているように思います。
佐藤:ごく早い時期から「キュン」という言葉の様々な活用法を提案してこられたということですよね。それが、今の「キュンです」ブームにつながっているのかもしれませんね。
前編はここまで。次回の後編では2010年代から2020年代にかけて、今まさに起こっている変化を読み解きます。