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有園が訊く!

「ネット広告を無視できない」リアルな現実が到来 サイバーエージェントが見据える業界の課題と未来

スピードへの対応が組織の競争力に

有園:毎日のように細かいアップデートがありましたね。各代理店にちゃんと伝える大きな変更も、毎月のようにあったと思います。

岡本:いいサービスにしよう、クライアントにしっかり効果をお返ししようと思ったら、それらをしっかりキャッチアップしないといけない。マス広告は何十年と形態が変わらないのに、発展途上の産業では技術もアイデアもバンバン進展していく、そのスピード感はすさまじいものがありました。

 しかも、組織で取り組んでいるので皆で内容を共有して意識を合わせる必要がありました。言い方を返すと、その点をやり抜いたことが当社の強い競争力になったと思います。

有園:なるほど。その点、伝統的な広告代理店は組織が大きいだけに、どうしても動きが鈍くなるところがあったと思います。組織変更もとんでもなく多かったのでは?

岡本:そうですね、3ヵ月に一度とか。組織が未熟だったという理由もありますが、これも「今そうすべきだ」というときに変更しなければ、技術やアイデアのスピードに取り残されていたと思います。メディアやパートナー側が変わったら我々も変わらなければ、クライアントのサービスがネット広告の先にいるお客様に届きませんから。

有園:岡本さんの、マネジメントのスタイルというのはありますか?

岡本:ずっと当社にいるので、私のというより当社の環境や文化に影響を受けていますが、基本的には個人のよいところが発揮される組織にして、事業を活性化し拡大していく考えがあります。先ほどトップダウンではないとお話ししたように、現場からどんどん進めていける権限委譲の幅も、当社の事業運営の特徴として大きいと思いますね。

ネット広告でしかリーチできない層が増えている

有園:では、直近の業界の課題についてうかがいます。今、どういったテーマを見据えていらっしゃいますか?

岡本:課題という言葉は少し違うかもしれませんが、もっとできるはず、という思いを強く持っています。

有園:もっとできる、というのは、もっとネット広告のポテンシャルを発揮できるといったことですか?

岡本:そうですね。もちろん我々ができる限り尽力し、クライアントの事業を最大限に支援していくのは大前提なのですが、それはクライアントと我々が一体となって進めることなので、データの整備ひとつとっても先方の理解が十分でないと難しい。業界を俯瞰すると、もっといいマーケティングや、的確なDXができるのに、と思うケースが少なくないのが正直なところです。

 今、ネット広告でなければリーチできない層がどんどん増えていますよね。そうした生活者の状況を踏まえると、我々が考える理想的な形でネット広告を使っている企業は、まだまだとても少ないと思います。それを理想的な形にもっていくことが、我々のチャレンジでもあります。

有園:理想的な形とは、具体的にはどういったことでしょうか。

岡本:たとえば、ネット広告ならではの精度の高いターゲティングをやりきるとか、受け手の反応を捉えてクリエイティブを改善するとか……。CPAばかりに注目しがちだけれど、LTVの把握とその向上にもっと努めたほうがいいと思うことも多いです。これらは我々にとっては普通のことを、なぜしないのかという違和感が強いです。

 少し前は、そもそもそうした課題感がなかったと思いますが、今では「ネット広告を無視できない」ことがリアルな現実として認識されています。そこで何をすべきか、どう取り組んでいけばいいか、働きかけていかないといけないと思っています。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

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高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/17 08:00 https://markezine.jp/article/detail/41198

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