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インターブランドジャパン発表「Best Japan Brands 2023」

成長率TOPはヤクルト/日本の成長ブランドに見られる3つの共通点と、差別性重視の古典回帰が示すこと

「ヤクルト1000」のヒットも!最も高い成長率を見せたYakult

MZ:「Best Japan Brands 2023」にランクインしたブランドの中で、インターブランドジャパンが注目しているブランドはどこですか?

並木:今年、最も高い成長率を見せたのは「Yakult(+28%)」で、これに「WORKMAN(+24%)」「Shimano(+23%)」「Daikin(+20%)」「Fujitsu(+19%)」が続きました。Yakult、Daikin、Fujitsuは、ここ数年の間にリブランディングをしているので、ブレイクスルーがあった結果の成長だと見ています。WORKMANとShimanoは、適切なブランディングをやり続けたことで、ブランド価値を伸ばすことができたという捉え方です。その意味では、Fujitsuはどちらの要因も半々であるかもしれません。

 それぞれ見ていくと、まず、Daikinは興味深い点が多いブランドです。Daikinは「空気で答えを出す会社」として、“空調”から“空気”にブランドの軸を移して活動されてきました。“機能的な差別性”ではなく、パーパスを含めてブランドのポジションを明確に示した結果の差別性や独自性であるという点で、日本ブランドの傾向と異なっており、注目すべきブランドだと思います。技術力や製品力だけでなく、社会の解決すべき課題・提供すべき価値に対して独自性を作っていけるかが、今、ブランドの大きな転換点になっているのです。

 関連して、Yakultにも同じ側面があります。Yakultは「Yakult1000」が大ヒットしましたよね。元々、Yakultの機能的価値は乳酸菌にありますが、乳酸菌へフォーカスしつつ、「Yakult1000」「Y1000」では社会問題である睡眠時間に対して価値を提供しています。「私たちは、生命科学の追求を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりに貢献します。」という企業理念で掲げる世界に向けてブランディングを行ってきた結果、売上にも大きな貢献があったわけです。こうしたシフト(リブランド)を実現することを視野に入れて、活動されてきたのだと思います。

2020年から急上昇を続けている「WORKMAN」

MZ:WORKMANは、近年急速にランキングをアップさせていますね。

並木:WORKMANは2020年に初めてランクインして以降、2021年には+57%、2022年には+29%、今年2023年に+24%とすごい勢いでブランド価値を成長させています。2020年からずっとブランド成長の要を実現し続けているという、まさに実行力の企業です。

 私は、WORKMANの経営を評価するとき「カスタマーセントリックであること」と「データドリブンであること」の2つがキーワードになると考えています。中でも、「声のする方に、進化する。」と、経営理念の真ん中にカスタマーセントリックを置いているというのは、大きなブランド資産と言えるでしょう。顧客を中心に見据えることの重要性を証明する事例の一つだと思います。

 また、専務取締役である土屋哲雄氏のコメントにある「善意のサプライチェーン」「社員に新たな達成感を持ってもらう」という部分も非常に大事だと思っています。先ほども話に挙がりましたが、日本ではエシカルだから購入するという購買行動がまだ欧米ほど浸透していません。ですが、社員においては社会価値・環境価値に向けた取り組みが間違いなくモチベーションに繋がっているはずです。“善意の”という言葉も、人間らしさが感じられていいですよね。社会価値・環境価値からさらに一歩踏み込んで、道徳観や倫理観を示している表現だと思います。そして何より、こういった発信ができるくらい、自社ブランドに対して自信を持てているということが重要だと感じます。

~ワークマン 専務取締役 土屋哲雄氏へのインタビューより抜粋~

“社員は「親切心」で採用し、加盟店は「人柄」で選び、メーカーとは長く付き合う。このやり方で「善意のサプライチェーン」を実現しています”

“サステナブル化に本気で取り組むことで、社員に新たな達成感を持ってもらい、ブランドを成長させたいと考えています”

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ブランドのマインドシェアを捉える「Arena(アリーナ)」の概念

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/02/16 14:15 https://markezine.jp/article/detail/41356

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