購入商品はPBへスイッチ、新商品より既存品
食料品において購買場所が変化していることがわかりましたが、商品の選択に変化はないのでしょうか? ここでは、消費者物価指数の上昇率の高いマヨネーズ、ポテトチップス、炭酸飲料の購入ブランドの変化を見ていきます。
マヨネーズ、ポテトチップスはPBへ
マヨネーズの、ナショナルブランド(以下、NB)の代表格であるキユーピーマヨネーズ(キユーピーハーフ含む)の数量シェアは、2018年の53%から、2022年には43%に低下しており、マヨネーズにおけるNB全体では対2018年比で89%へ縮小しています。一方、プライベートブランド(以下、PB)全体では、対2018年比で169%伸長していることから、PBシフトがうかがえます(図表3)。
また、ポテトチップスでは、カルビーブランドの商品の数量シェアが2018年の58%から2022年は48%へ低下しており、ポテトチップスにおけるNB全体のシェアは、対2018年比で95%へ縮小しています。一方、PB全体では、対2018年比で160%伸長しており、マヨネーズ同様PBへのシフトが見られます。

マヨネーズ、ポテトチップスの2018年から2022年の年平均物価上昇率(消費者物価指数)はそれぞれ125%、120%であるのに対して、QPRにおける1点あたりの平均単価の上昇率はそれぞれ118%、113%であることから、各商品の市場売価の上昇を受けて、安価なPBへとブランドスイッチが起きたと考えられます(図表4)。

炭酸飲料は冒険しなくなった
次に、毎年新商品が多く発売されるNBの炭酸飲料に注目します。

炭酸飲料(650ml以下のパーソナルサイズ、以下同様)の新商品の本数シェアは、2018年の23%から2022年は17%へ低下しています。新商品・リニューアル品のアイテム数の縮小率83%をふまえても、本数シェアの縮小率73%のほうが大きく、新商品から既存品への選択のシフトが起きていると言えます(図表6)。

また、NBの炭酸飲料のうち、本数シェア70%を占めるアイテム数は、2018年の101個から2022年の122個へと増加していることから、購買される商品のばらつき、NBのロングテール化がうかがえます(図表7)。

2018年は、ペプシやカナダドライなど大型ブランドからの新ブランド発売、歴史あるキリンレモンブランドの大規模リニューアル(大人のキリンレモンブランドからキリンレモンへ)と、新発売・リニューアル発売の話題の多い年でしたが、上位70%に占める新商品・リニューアル品のアイテム数は、2018年も2022年も32個と同数で変わらないことから、ロングテール化は既存品によりもたらされていると考えられ、炭酸飲料市場は新商品から既存品、売れ筋品からそうでない商品へシフトしていると考えられます。