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MarkeZine Day 2025 Retail

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物価高で消費者の買い物はどうなった?購買場所・商品を変化させ、しのぐ姿が明らかに

「楽しむ買い物」から「目的を持った買い物」へ

 これらの購買行動の変化の背景には、どのような価値観の変化があるのでしょうか。

 ライフスタイルや価値観で購買者をプロファイルするマクロミルの「QPR-SCAPE」の中から、食料品や日用品の購買態度・価値観を因子分析によって集約した7つの要素に注目して、その変化を捉えていきたいと思います(図表8)

【図表8】買い物価値観・態度 因子得点の変化(メイン買い物担当者)
【図表8】買い物価値観・態度 因子得点の変化(メイン買い物担当者)

 買い物担当者(マクロミルモニタの自己申告で得た家庭の買い物を主に担当する者)の購買態度・価値観は「目的買い傾向」が増加、「新製品早期購入傾向」「売れ筋選択傾向」「買い物好き傾向(店舗内を見て回るのが好き)」「品揃え・買い得品での店舗選択」が低下しました。

 買い物担当者は、商品を選んだり、お店で過ごしたりする“買い物の楽しさ”を求める気持ちが低下しており、そういった軸での店舗選択も低下していることがうかがえます。

 また、値引きされる商品をチェックしたり、タイムセール時間を考慮して来店する「来店前価格コンシャス」も低下しており、物価高により値引きされる商品・タイミングが少なくなった背景もあるのかもしれませんが、日用品・食品の買い物への関心が低下しているようです。これは、「店頭価格コンシャス」「来店前価格コンシャス」の低下率よりも、「新製品早期購入傾向」「売れ筋購入傾向」「目的買い傾向」の変動が大きいことからもうかがえます。

スーパー離れ、PBシフト、NBは既存品……変化する買い物

 今回は、2018年から2022年の食料品の購買行動の変化、購買意識の両面から見てきました。2018年から2022年にかけて、食料品は、業態はスーパーからドラッグストアやホームセンター・ディスカウントストアへ、商品の選択は、NBからPBへ、NBの中でも新製品でないものや売れ筋でないものへシフトしたことが考えられます。

 意識面では「新製品」「売れ筋品」の選択意識が低下しているだけでなく、「目的買い傾向」の増加や「買い物好き傾向」の低下も見られ、商品選択だけでなく店内行動への変化もうかがえました。

 物価高は、価格への緊縮意識を高め、店舗選択・商品選択を変化させただけでなく、日常の中で一定の楽しさをはらむ家事であっただろう“買い物・消費”の楽しみをそぐような影響もあったのかもしれません。物価高は当面の間、継続しそうですが、賃金の引上げへの取り組みも進む中、今後の消費者の価値観・購買行動を継続的にトラッキングしていくことが必要でしょう。

【分析仕様】
<QPR>
データソース:マクロミル 消費者購買履歴データ「QPR」
調査対象アイテム:商品バーコードのある商品(インストアJANを除く)
調査・分析対象者:全国(沖縄除く)、15~69代の男女(60代の緩和として一部70代を含む)
分析対象期間及び有効モニタ数:
[2018年]2018年1月1日~12月31日 26,591人
[2022年]2022年1月1日~12月31日 26,453人
詳細サイト:https://www.macromill.com/service/database_research/qpr.html

<QPR-SCAPE>
データソース:マクロミル 購買者プロファイルサービス「QPR-SCAPE」
調査・分析対象者:QPRモニタ 買い物主担当者(因子構造の導出はQPRモニタ中の2022年調査全回答者で実施)
調査対象期間及び有効モニタ数:
[2018年]2018年6月14日~7月16日 15,510人
[2022年]2022年6月10日~7月10日 15,518人

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この記事の著者

赤間 かおり(アカマ カオリ)

株式会社マクロミル
プロダクト統括本部 事業企画部 プロダクトプランニング&マーケティングユニット
学部で消費者行動論を就学、大学院にて経営情報学を専攻、修士号を取得。マクロミルでは、リサーチャー、アナリスト、消費者購買履歴データ「QPR」サービス開発、プロジェクトマネージャーと役割を変えながらも一貫してマーケ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/04/10 09:30 https://markezine.jp/article/detail/41567

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