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ECサイトのMAUが20%増! 箱庭型ゲーム「湖池屋FARM 大豊作!」開発の裏側を聞いた

 湖池屋は2023年1月、ECサイトの集客施策の一環として、箱庭型シミュレーションゲーム「湖池屋FARM 大豊作!」を開始した。システム開発においては、セガ エックスディーが提供するゲーミフィケーションサービス「GameBox」を活用。これにより、開発開始から約2ヵ月でローンチに漕ぎ着けた。さらに、LINE公式アカウントの友だち登録者数が30%向上するなど、成果は既に表れているという。オリジナルゲームが企業のマーケティングにもたらす効果とは。担当者に話を聞いた。

おなじみキャラも登場する湖池屋のオリジナルゲーム

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、お二人が現在担当されている業務領域について教えてください。

大賀(湖池屋):「ポテトチップス」や「カラムーチョ」「ポリンキー」などの商品を開発・製造している湖池屋では、70万人超(2023年3月時点)の会員を抱えるECサイト「湖池屋ONLINE」を運営しています。私が所属するスナックEC課のミッションは、湖池屋ONLINEを通じて当社商品の売上拡大に貢献することです。私は主にメールマガジンの配信をはじめ、新規ユーザー獲得のための集客・販促を担当しています。

湖池屋 営業本部 EC・ヘルスケア事業部 スナックEC課 大賀愛子氏

丸山(セガ エックスディー):私は2021年にセガ エックスディーに入社し、ゲーミフィケーション(※)を活用したサービス「GameBox」のアカウントリーダーとして、サービスの立ち上げから企画・設計、導入後のカスタマーサクセスまで一貫して関わってきました。

※ゲームのメカニズムを非ゲームの分野に応用することで、ユーザーのモチベーションを高め、その行動に影響を及ぼすこと
セガ エックスディー GameBoxサービス責任者 丸山純平氏

丸山(セガ エックスディー):今回湖池屋さんにも導入いただいたGameBoxは、LINE・アプリ・Webページにリンクを設置し、簡単にオリジナルゲームを生成できるサービスです。現在はチームリーダーとしてGameBoxに限らず、当社のノウハウ/アセットを活かして企業の事業開発支援を行っています。

MZ:湖池屋ではGameBoxを活用して、湖池屋ユーザー向けゲームコンテンツ「湖池屋FARM 大豊作!」を開発されたそうですね。本施策の概要を教えてください。

大賀(湖池屋):湖池屋FARM 大豊作!は、ユーザーが「小麦を4回生産しよう」「りんごを1回生産しよう」などのミッションをクリアすることで、ゲーム内の農場をどんどん発展させていく箱庭型シミュレーションゲームです。

湖池屋FARM 大豊作!のゲーム画面

大賀(湖池屋):湖池屋オンラインショップのLINE公式アカウントを友だち登録すると、LINE上でゲームをプレイすることができるため、アプリのインストールは不要です。ゲームをプレイしているユーザーは、様々なシチュエーションで湖池屋オンラインショップで利用可能な限定クーポンがもらえます。湖池屋オンラインショップで一番人気商品である「湖池屋工場直送便」のクーポンも配布されています!なお、本施策は実証実験であり2023年7月末で一旦終了の予定です。

ECサイトを愛着が感じられる場に

MZ:ゲームを開発しようと思われた背景を教えてください。

大賀(湖池屋):以前、ある化粧品メーカーがゲーム施策を展開されており、担当者の方にその成果を聞く機会がありました。その方によると、単にECサイトの訪問率が上がっただけでなく、定期購入への移行率や商品の購入率など、様々な指標にも影響があったとのことでした。

 その話から「当社でもゲーム性のあるユーザー体験を提供できれば、ECサイトの購入率やロイヤル顧客を増やすことができる」ひいては「湖池屋オンラインショップが単なる商品購入の場ではなく、より一層愛着を感じてもらえるオンラインショップになる」と思ったのです。

MZ:湖池屋FARM 大豊作!では、湖池屋が保有するIP(知的財産)も活用されたと伺いました。これも、オンラインショップを愛着が持てる場にするための手段ということでしょうか?

大賀(湖池屋):はい。当社の人気商品カラムーチョや「すっぱムーチョ」でお馴染みのキャラクター「ヒーおばあちゃん」「ヒーヒーおばあちゃん」らが登場します。元々ロイヤルティの高いユーザーには、商品パッケージやCMなどで目にしたことのあるキャラクターが実際に動く姿を見せることで、懐かしさを感じてもらえたかと思います。一方、ヒーおばあちゃんたちをまだ一度も見たことのない層の方には、湖池屋の世界観を知ってもらう機会を創出できれば、と考えました。

ゲーム活用のメリットは「差別化」「活性化」「ファン化」

MZ:企業がマーケティングにゲームを活用することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

丸山(セガ エックスディー):ゲーム活用のメリットは「差別化」「活性化」「ファン化」にあります。ゲームは生活に必ずしも必要なものではありません。しかし「気づいたらゲームに手が伸びていた」「知らず知らずのうちに長時間遊んでいた」という経験は、多くの方がお持ちではないでしょうか。つまり、ゲーミフィケーションは人が動くきっかけおよび仕掛けになりやすいのです。この特徴は、企業が抱える課題を解決し、顧客のロイヤルティを向上させ、離脱率や解約率などの低減施策に横展開することが可能です。

丸山(セガ エックスディー):さらに、離脱率・解約率の防止という短期的な成果のみならず「ゲームという固有の体験で他社との差別化を図る」「顧客と長期的な関係を築き、売上を安定させる」「利用者からのフィードバックを基に商品・サービスなどの価値を高め、新たな顧客獲得につなげる」などの長期的な効果も期待できます。

大賀(湖池屋):現に当社でもユーザーから頂戴した様々なお声を基に、施策をブラッシュアップしているところです。中には「農場のレベルが既に100に到達してしまったが、それ以上は発展させられないのか」とおっしゃる方もいます(笑)。そのようなご意見を踏まえてゲームの機能を拡充したり、クーポンの内容を工夫したりしています。

丸山(セガ エックスディー):ゲームで、ユーザーのロイヤルティ向上を狙える一方、ゲーム体験のみで大きな販促効果を得ることは難しいでしょう。ゲーミフィケーションにおいて重要なのは、他のマーケティング施策とクロスさせる視点です。今回の湖池屋さんの事例のように、ゲーム上でIPを活用したりクーポンを配布したりすることをおすすめします。

 また、ゲーム体験中のユーザーに実店舗への来店を促す機能を実装している企業もあります。つまり、「購入」や「来訪/来店」といった行動を促す導線作りがゲーミフィケーションで成果を出す鍵なのです。

低コスト・低工数が決め手

MZ:今回、セガ エックスディーのGameBoxを活用することにした決め手を教えてください。

大賀(湖池屋):決め手はコストです。一からオリジナルゲームを作るとなると、掛かる費用は莫大なものとなります。また、工数もばかになりません。GameBoxでは人気のゲームジャンルのフォーマットが既に用意されているため、湖池屋FARM 大豊作!もサービス開発に着手してから約2ヵ月でローンチすることができました。CRM施策の一環としてゲーミフィケーションを本格導入するハードルは非常に高く、「まずは実証実験の形で進めたい」と思っていたため、コストと工数を抑えられた点はありがたかったです。

GameBoxで提供可能なゲームモデルの一例(箱庭モデルやガチャモデル、学習クイズモデルなど)。このほか
ミニゲームモデルとタイトルから利用企業の達成すべきKPIに合わせてモデル選定およびカスタマイズが可能だ

丸山(セガ エックスディー):GameBoxでは、既存のゲームジャンルをベースに、クライアントが希望するものをゲーム内とトンマナを合わせた形でデザインを変更することも可能です。ゲーム内に企業様オリジナルの世界観を構築する上で欠かせないIPについても、湖池屋さんのように既存のIPをお持ちでない企業様に向けて、当社でキャラクターを開発することも可能です

 GameBoxの場合、軽微な更新ならノーコードで行えるため、導入企業の担当者が「別で走らせているキャンペーンに合わせてゲーム内でもクーポンを配布したい」と考えた場合に、一人で実装することが可能です。

ECサイトのMAUは20%増!全KPIで目標を達成

MZ:湖池屋FARM 大豊作!を通じて、現時点でどのような成果が得られていますか。

大賀(湖池屋):ゲームの開発にあたり「LINEの友だち登録者数」や「ECサイトのMAU」「ECサイトでのクーポン利用者数」をKPIに設定していました。湖池屋FARM 大豊作!のリリース前後でLINEの友だち登録者は30%、MAUは20%増え、クーポン利用者数も2,000人以上に至るなど、すべてのKPIで目標を達成しています

大賀(湖池屋):また、ゲームのリリース前に比べてLINEのブロック率も減少しています。それまではキャンペーンが終了すると即座にブロックされてしまうことが多く、課題を感じていました。しかし、湖池屋FARM 大豊作!ではレベル100になるまで新たなミッションを課すなど、ユーザーに長く遊んでもらえる仕掛けを施しています。その結果ブロックされにくく、当社からのLINEの通知を定期的に見てもらえるようになったことも成果の一つです。

 湖池屋の公式Twitterアカウントでも本施策について投稿しているのですが、タイムライン上で「パッケージのキャラクターが動いていてかわいい」「ゲームをやってみたくなった」などの投稿が見られたのも嬉しかったですね。

“ユーザーがつい触れたくなるUX”

MZ:今後、湖池屋FARM 大豊作!をどのように発展させていきたいですか。

大賀(湖池屋):お客様に今後も引き続きゲームを楽しんでいただけるよう、新たな湖池屋のキャラクターを実装したり、キャンペーン企画を実施したいです。また、先ほど丸山さんが例として挙げていたゲームと実店舗の連携施策も検討しています。たとえば、コンビニなどで利用できるクーポンをゲームの特典とすることで、OMO施策にもつなげられるはずです。

MZ:どんな企業にGameBoxを活用してもらいたいですか。

丸山(セガ エックスディー):商品の機能的価値だけでは差別化を図ることが難しいとされる昨今、いかに情緒的価値を提供できるかがマーケティングにおいて重要となります。GameBoxでは「ユーザーがつい触れたくなるUX」の設計を支援することが可能です。そのため、「自社の商品・サービスの機能的価値には自信があるが、世間から十分認知してもらえていない」「ユーザーに独自の体験価値を提供したいが、どうすれば良いかわからない」「自社IPを活用したブランディング・PR・購買促進に取り組みたい」などの悩みをお持ちの企業様にぜひ、マーケティング領域にて幅広く活用いただければと思います。

 今後もより多くの方に「CRM支援サービス=GameBox」と認識してもらえるよう、提供価値を引き続き高めていきたいと思います。

本記事で載せきれなかった「湖池屋工場直送便」の魅力をご紹介!

揚げたてのポテトチップスを生産から3日以内に出荷する「湖池屋工場直送便」。工場でしか味わえなかった感動を、ご自宅で楽しめます。美味しさの秘密は「油の鮮度」!揚げたてだから、サックサクの軽やかな食感やじゃがいも本来の良い香り、噛めば噛むほど広がる繊細な旨みが楽しめます。※受注生産の為、不定期販売品となります。

湖池屋工場直送便のお取り寄せはこちら

GameBoxに関する「資料請求」「お問い合わせ」はこちらから

『GameBox』はセガ エックスディーの「ゲーミフィケーションメソッド」を活用し、顧客のロイヤルティ向上を目的とした、手軽に自社オリジナルゲームを作ることができるサービスです。開発工数をカットし、コストを抑えてゲームを開発することができ、LINEなどのSNSアカウントや会員アプリ、オウンドメディアに埋め込んで提供することが可能です。

GameBoxオフィシャルサイト

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この記事の著者

釘﨑 彩子(クギサキ アヤコ)

 2019年からマーケティング・広告の専門出版社で編集者として勤務。広報・PR分野を中心に編集業務にあたる。2022年よりフリーランスのライターに。媒体問わず、マーケティング、広報、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/03/31 14:48 https://markezine.jp/article/detail/41667