ダークファネルの重要性とは?
MZ:ダークファネルとはどのようなものか詳しく伺えますか。
嶋添:ダークファネルとは、匿名状態のファネルのことを意味します。サイト来訪者の約9割が今もなお匿名状態にあるとされています。そのため実際にターゲットとなる企業が自社サイトにどれだけ来訪し、どれだけのエンゲージメントを構築できているのかを把握することはリード獲得後でないとこれまで困難でした。
匿名ファネルを可視化する類似するソリューションはこれまでにも存在していましたが、当社のお客様複数社で比較検証を頂いた結果、従来の3~4倍の企業捕捉率を弊社ABM機能では確認しており、圧倒的なデータ量によってシームレスにパーソナライズ施策に落とし込むことが初めて可能になったことで、サイト上でのターゲット企業のエンゲージメントをこれまで以上に強化することができるようになっています。
企業主導から購買者主導の時代へ
Halel:ABMはご存知のとおり、マーケティングと営業が一体となり、自社がターゲットとするアカウントを顧客へと引き上げる戦略です。営業とマーケティングをどのように連携していくかは米国でも大きな課題の1つでしたが、ここ数年は様々なABMソリューションの目覚ましい発展もあり、実際に成果を上げる企業が増えており、マーケティング組織の中にSDRなどの部隊も組み込まれはじめ、一段と部署間の垣根がなくなりつつあります。
さらに近年のBtoBの傾向として、カスタマージャーニーは企業側がもはやコントロールできるものではなくなってきました。“Buyer Led Journey”(購買者主導型ジャーニー)とも呼ばれ、企業の購買者は自分のタイミングで可能な限りダークファネル上で(匿名状態のまま)自社にとっての必要な情報を得たいと考える傾向がより一層強くなっています。
そして顧客から営業担当者にコンタクトがあった時は、既に7割方の購買プロセスは終わっているという調査データもいまや自明のものとなってきています。
ともすると営業担当者が商談を行う前に大方の勝負は主にオンライン上などで決着してしまっているとも言え、情報収集のタイミングで検討されなければ土俵に立つことすらできない状態です。そのような環境下で事業成果をこれまでと同じ旧来のアプローチで成長させることはとても難しくなっています。
TRENDEMONを選んだ決め手
MZ:ツールソリューションは国内外に様々なものがありますが、TRENDEMONを最終的に選んだ決め手はなんでしょうか?
森藤氏:まず、はじめに現実的な側面で導入工数と、実際に使いやすいかどうかを評価しました。ツール導入でよく起こることですが、設定が大変で使いこなせないようなことは我々としても過去の経験から避けたい部分でした。TRENDEONでは計測するサイト上のドメインを横断して長期間のジャーニーを計測、分析し、様々なパーソナライズ施策を行うことができるのですが、基本的にはワンタグを埋め込むだけで複雑な設定なしに、スピーディーにすべて実行できる点はとても助かりました。
また、コンテンツの質の評価方法や、そもそものコンテンツにおけるKPI指標の考え方なども教えていただいた点も大きかったです。
萬代氏:当社ではMAツールやWebアナリティクスを導入しているのですが、ツールによっては、データの閲覧はもちろん、必要なデータ取得のために事前設定を行うのも別部門に依頼する必要があり、施策を行うまでに多くの時間と労力を要することもありました。
今では分析から施策までの改善スピードが圧倒的に以前よりも速くなってきていると実感しています。
MZ:具体的に、TRENDEMONではどのような活用をされていますか?
森藤:1年ほど導入してから経ちますが、まず基本的な部分ではコンテンツを作成している各領域のマーケティング担当者と月次で読了率や回遊率、コンテンツからの送客先Webサイトへのコンバージョン率などのエンゲージメントデータを共有しています。実際に本当に熱量を持って読んでくれているのか、回遊してくれているのかなどのエンゲージメント数値としてコンテンツパフォーマンス結果を共有することで、各担当者のコンテンツ作成への意識も変わってきたと感じています。
萬代:その他にも分析から得られた示唆をもとに来訪ユーザーごとのコンテンツのパーソナライズレコメンドを実装し、コンテンツ間の回遊性を高めたり、イベントの告知などを各コンテンツ上で出し分けを行うなど、これまで以上に施策検証を質と量ともに上げることができるようになりました。
森藤:直近ではABM機能を先行してご紹介いただき、検証テストを昨年の夏頃にスタートさせました。検証テストを通し、これまで可視化できなかったようなデータ量と粒度で、来訪企業のインサイトをダークファネル上から解像度を高く可視化できるようになりました。それからは、ターゲット企業へのパーソナライズ施策を実施したいといった相談も社内で徐々に増え、サイト上で様々なターゲット企業に対しての施策検証に挑戦できるようになってきています。