日本でも利用が大きく広がる「Spotify」
当社は元々、音楽コンテンツの海賊版とそのダウンロードが横行していた時代に、それらの違法行為に対するソリューションとして創業したのが始まりです。音楽コンテンツを合法的にいつでもアクセスできるサービスを構築し、そこから得た利益を権利保持者に分配する、というビジネスモデルを確立しました。これにより、アーティストは作品への対価を得られるように、人々はより便利に音楽を楽しめるようになったわけです。
大まかなサービスの特徴としては、有料サブスクリプションの「プレミアム」と、無料で聴取できる「フリープラン」に分かれています。フリープランでは、無料である代わりに楽曲間に広告を挟み込み提供しています。
Spotifyは、2008年に欧州でサービス提供を開始しました。2011年から米国で、2016年秋からは日本でも展開。近年はアフリカや中東などでも続々とサービスを開始し、現在180以上の国と地域で、5億人もの月間アクティブユーザーにご利用いただいています。
日常生活のより多くの場面でメディア接触が可能に
まず、デジタル音声サービスが他と大きく異なるのは、サービスを利用する時間です。これまでのメディアでは、サービスにかけられる時間はほぼ可処分時間に限られていましたが、デジタル音声サービスの場合は、スマートフォンとイヤホン(あるいはスピーカー)を使用したオフスクリーン状態が前提のため、より多くの生活時間で接触・利用できるようになりました。
そうしたデジタル音声サービスの特徴を背景に、デジタル音声広告市場も飛躍的に成長しています。日本のデジタルオーディオ広告市場は2022年から5年間かけて11%成長し、2027年には約3億7,200万ドル(約500億円)規模にまで到達することが予想されています(IAS - The 2023 Industry Pulse Report調査より)。
そして今回、当社は心理生理学的測定を行っている調査会社・MindProberと共同で「Sonic Science 2.0」という調査を実施しました。これは、米英両国のSpotifyユーザー計426人を対象に、「皮膚電気活動」を測定し、デジタル音声に対する聴取態度を可視化する試みです。
具体的には、被験者には通勤、仕事、ワークアウトなど様々なシチュエーションで、Spotifyのプレイリストを聴いてもらい、ハンドセンサーを使って発汗量を測定。それと同時にアンケート調査を実施し「参加者の活動」「感情」「広告想起」「購買意向」などについて情報収集を行いました。
その結果、明らかになったのは「Spotifyで音楽を聴くことで気分が高揚する」ということです。インタビュー調査では、対象者の3分の1がSpotifyを聴くことで「ハッピーな気分」になり、かつ、全体の4分の1が「落ち着く」と答えました。また、日本のZ世代とミレニアル世代の65%はデジタル音声コンテンツを一種の「メンタルヘルス」のために活用していることもわかっています。