ゲスト目線の高い解釈性が豊かな示唆を生んだ
MZ:ユー・エス・ジェイのお二人にとって、今回の分析がもたらした価値はどこにありますか。
岩崎(USJ):元々ファーストパーティーデータを基に立てていた仮説の正しさを証明することができました。データ分析は「経験則に近い内容が8割出れば成功、意外な示唆が2割出れば大成功」と言われていますが、今回はその2割がしっかり出てきたと思います。
岩崎(USJ):たとえばアニメとパークの相性の良さについては、当社でも年間パス保有者の特徴から理解してイベント企画などにも反映していましたが、アニメ以外にも様々なエンタメや推し活を楽しむ方々が年間パスを持ってくださっていることが今回の分析でわかりました。非常に意義のある分析だったと思います。
豊島(USJ):私は今回、高い解釈性が分析業務にもたらす価値を強く実感しました。言い換えると「分析の末に導き出されたデータをどう解釈するか」という視点の重要性です。
豊島(USJ):テーマパークビジネスの場合、データサイエンティストがただ分析を実行するだけでは豊かな示唆を得られません。三井住友カードさんは分析結果とパークの実情や特徴をうまく掛け合わせながら仮説を出し、我々とのディスカッションを通じて仮説立案の精度を高めてくださいました。先ほどアナリストの杉本さんが「SNSをウォッチしている」とおっしゃっているのを聞いて合点がいきました。ゲスト目線の分析が、質の高いアウトプットにつながっているわけです。
データは変化を捉える最強のツール
MZ:今後、両社でチャレンジしたいことをお聞かせください。
岩崎(USJ):消費者の行動や価値観が多様化する時代において、データは変化を正しく捉えるための最強のツールだと考えています。三井住友カードさんと当社のデータを掛け合わせることで、ゲストから何が求められているのかを理解し、新たな価値を提供していきたいです。
豊島(USJ):今回の分析を通じて、パーク外におけるゲストの行動が理解できました。当社では「NO LIMIT!」というブランドスローガンの下、パーク内でNO LIMITな体験の提供に取り組んでいます。今後もデータを活用しながら、パーク内にとどまらず他の様々な業種業態でもNO LIMITな体験を届ける方法がないか考えていきたいです。
荒木(三井住友カード):今回の分析結果を踏まえ、年間パスを購入するゲストの拡大に引き続き協力していきたいです。年間パスとクレジットカードが一体になった年間スタジオ・パス・プラスもありますから、今後はより深く掘り下げた分析ができると思います。
荒木(三井住友カード):岩崎さんと同様、私もコロナ禍を経て消費の全体像が変わってきていると感じます。キャッシュレスデータを用いて今起こっている消費体験を紐解き、中長期的にUSJでの決済額増やゲストの満足度向上をご支援していきたいです。