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MarkeZine Day 2023 Spring(AD)

CTV広告の「成果計測・BLS・オンオフ統合」実現へ 急成長のTVerとセプテーニが語る業界最前線

 近年、動画市場で急成長しているコネクテッドテレビ。ユーザーの伸長とともに、広告市場としても盛り上がりを見せている。MarkeZine Day 2023 Springにおいて、この急成長市場で最注目のプラットフォーマーであるTVerと、同社のセールスパートナーのセプテーニは、実際の取り組み事例とコネクテッドテレビ広告の独自の強み、現在の課題感、新たなチャレンジなどを両社の視点から語った。

セプテーニがTVer広告の販売拡大 三つの理由とは?

 デジタルマーケティング事業を中心に展開するセプテーニは、電通グループとしての利点を生かした協業にも力を入れている。

 同社は、2021年からTVerと連携し、新商品の優先利用や情報の共同発信を行う「スペシャルパートナープログラム」の取り組みを開始し、強固な関係を築きながらTVer広告を推進してきた。

 セプテーニのグループ会社であるSepteni Japanにおいて、マーケティング戦略本部のメディア/プラットフォーム領域担当本部長の本間崇司氏は、まず、セプテーニがTVer広告の販売を順調に拡大できている背景について三点を説明した。

株式会社セプテーニ マーケティング戦略本部 メディア/プラットフォーム領域担当本部長 本間 崇司氏
Septeni Japan株式会社 マーケティング戦略本部 メディア/プラットフォーム領域担当本部長 本間 崇司氏

 一つ目は、TVerのベータ版リリース時から広告販売に継続的に取り組んできたことだ

 「当社は元々ダイレクトレスポンスマーケティングを強みにしてきました。ですが、徐々にデジタル領域に拡張していく中で、TVerの重要性に気づき、2019年頃から取り組みをスタートしています」(本間氏)

 二つ目は、インストリーム動画領域の専門性を持つこと。デジタル領域への拡張に合わせ、YouTubeやABEMAなどの他動画プラットフォームを含めて強化してきたという。

 三つ目は、DSP領域の専門性も持ち合わせていることだ。ダイレクトレスポンスマーケティングで培ったDSPへの知見を掛け合わせて、TVer広告のプログラマティックな機能面に生かしている。

月間2,700万UBを突破したTVer 強みはターゲティングの正確さ

 続いて、TVer執行役員 広告事業本部長の古田和俊氏が、改めてTVerの概要について説明した。古田氏は、2002年にフジテレビに入社し、地上波の営業からデジタルの部署を経て2020年7月にTVerに出向。プロジェクト立ち上げ当初からセプテーニとの連携を進めてきた。

株式会社TVer 執行役員 広告事業本部長 古田 和俊氏
株式会社TVer 執行役員 広告事業本部長 古田 和俊氏

 TVerは、民放テレビ局650番組以上のコンテンツが、すべて無料でオンデマンド視聴できるプラットフォーム。アプリのダウンロード数は5,500万人、認知率は68.5%とユーザー数を着実に伸ばしている。

 さらに、2023年1月のMUB(月間ユニークブラウザ数)は過去最高の2,700万を記録。TVer広告の売上推移を見ても、2020年4月と比較して2022年3月には20倍近くまで伸長。

 「TVerの一番の強みはファーストパーティーデータの精度です。サービスを使用開始する際に、ユーザー様には生年月、性別、郵便番号をアンケートとしてお答えいただいています。弊社ではこちらのデータをベースにターゲティングをしておりますが、これがビデオリサーチさんのパネルと突き合わせたところ、正解率が93.7%と非常に正確な結果になりました。このような高い精度でデモグラフィックターゲティングを実現している点は強みだと考えております」

「TVer広告」のターゲティング精度
「TVer広告」のターゲティング精度

 TVerの特徴は他にもある。コネクテッドテレビ(以下、CTV)でのターゲティングができる点、高い視聴完了率、そして違和感なく広告が受け入れられる点だ。

 視聴完了率については、広告自体がそもそもスキップできないとはいえ、60秒CMで93.4%、15秒CMでは96%が最後まで視聴されている。さらに特徴的なのが、「音あり」で最後まで見られている割合が高いという点だ。そもそもテレビコンテンツ自体が、広告が入る前提で作られている。そのため、CMに対してユーザーが違和感を抱きにくくなるという特徴も挙がる。

 加えて古田氏は、安心して視聴できる点をTVerの魅力として挙げる。CM・コンテンツ共に、放送基準での審査を行っているため、青少年に不適切な表現が含まれていると感じる人は無料動画投稿サイトと比較してもかなり少ないという。

 こうした面から、TVer広告は成果実績も好調だ。2021年度のブランドリフトサーベイ(以下、BLS)の平均値では、広告の非接触者を100%として比較した広告接触者のリフト率において、サービス認知で133%、広告認知で228%という結果を示している。

CTVでTVer広告が急成長 独自の強みは高い共視聴率

 こうした特色を持つTVer広告だが、その成長過程において「CTV領域は最も大きなドライバーだった」と古田氏。2022年7月時点でCTVの再生比率は全体の29.3%まで伸びており、ユーザー数もかなりのペースで増加している。

 「増加の背景としては、コンテンツがテレビデバイスでの視聴に向いていることが一番の要因ではありますが、デバイスや機能の拡充にも注力してきたことが大きな成長率につながっていると考えています」(古田氏)

 大きな投資をしてきた結果、マーケターに対して「CTV広告といえば」とのアンケートを採ると、他プラットフォームを押さえて、TVer広告が想起率1位となった。

 さらに、CTVにおけるTVer広告の大きな利点として「高い共視聴率」があると古田氏はいう。基本的には、デジタル広告は1対1のコミュニケーションをベースとしているが、TVerについては平均1.5人で見ているという結果が出ている。つまり、CTVで流れる広告では、実質的に1.5倍のリーチになるといえる。こうした点でも広告主から評価を得ているという。

CTVのターゲティング

ユーザーへのアンケート結果から精度の高いターゲティングを実現

 CTVではこれまで「ターゲティングが難しい」という課題があった。この点に対しても、TVerには優位性があるという。

 「まずデモグラについては精度の高いターゲティングができます。さらに、ユーザー様からは興味関心についてもアンケートで回答いただいていますので、ユーザー様自身が回答したデータを基にターゲティングを行えます。これにより、興味に沿った広告を流せるため、ランダムに広告を流すよりもさらなるリフトアップが狙えます」(古田氏)

 TVerとセプテーニが共同で行った調査では、CTVでの広告接触者、非接触者の比較を行うと、接触者のほうがサービス認知の上昇が見られた。その上、継続出稿により継続的な上昇も見られることがわかった。

 別の調査では、サービス評価については、CTVの接触者は全項目においてリフトアップしていた。特に興味関心で+5.3pt、購入意向で+6.4ptと顕著な効果が出ていた。

TVer広告における広告主BLS実績
TVer広告におけるBLS実績

 古田氏は今後も、ファーストパーティーデータの拡充と、2022年4月から開始した「TVer ID」によるターゲティングの精度向上や幅の拡張につながる取り組みを強化していくと述べた。

 さらに、今までTVerに対して「テレビ番組の見逃し配信プラットフォーム」というイメージを持たれてきたが、オリジナル番組の制作も進んでいる。企業側からのニーズを受けてインフォマーシャルの制作も進行しているとのことだ。

 続いて、セプテーニ本間氏が考えるTVerとCTVの課題とその対応策について説明した。

 前提として、CTV市場は成長中であり、その市場を牽引するのは、TVerをはじめ、YouTubeやABEMAなどの動画配信プラットフォーマーだという。

 ただ、TVerを広告掲載面として捉えた際に実情はかなり複雑であると本間氏はいう。理由は、TVer広告の配信面には、放送局それぞれが持っている枠、各種DSPから差し込める枠など、様々な形態があるためだ。

 「セプテーニでは多くの配信面それぞれに網羅的に力を入れており、クライアントのニーズや用途に合わせて、うまく使い分けている」と本間氏は述べる。

 CTV広告領域全体としては何が課題だろうか。本間氏は三つの課題があるという。

急拡大のCTV市場が抱える三つの課題と解決策

セプテーニが考えるCTVの三つの課題
セプテーニが考えるCTVの三つの課題

 CTVにおける一つ目の課題は、成果計測の難しさだ。テレビは、PCやスマートフォンなどの他デバイスに比べ、サイト来訪やビュースルーコンバージョンといったクロスデバイスでの計測難易度が高い。そこでセプテーニでは、CTVでも上記の要素の計測が可能な配信プラットフォームを活用するという形で取り組みを始めている。

 二つ目の課題はBLSの取得だ。他のデバイスと比較した際にテレビはサーベイの取得についても難易度が高いという特徴がある。セプテーニでは、TVerのファーストパーティーデータを活用したBLSの先行利用を行い、社内で「CTV LABO」という各領域で専門性が高いメンバーを集めた横断的な組織でCTVの科学研究を進めているという。

 三つ目の課題が「オンオフ統合」についてだ。マスとデジタルにおけるオンオフ統合マーケティングは、実行難易度がかなり高い。

 そこでセプテーニは、オンオフ統合マーケティングのフレームワークとして「5C モデル」を提唱し、企業の実践を支援しているという。5C モデルは、セプテーニが電通グループに加わって以降の協業実績の中から成功事例や失敗事例を振り返り、フレームワーク化したもの。本間氏は「オンオフ統合マーケティングの実践力と成果を引き上げるためのフレームワーク」とを説明する。

オンオフ統合マーケティングを叶える「5C」

 5Cモデルには三つの特徴があるという。

「5C MODEL」の三つの特徴
「5C モデル」の三つの特徴

 一つ目は、オンオフ統合を三つのフェーズで捉える点。これにより、1ステップずつ成功実感を得ながらオンオフ統合マーケティングを進めていけるという。フェーズ1はチャネル統合、フェーズ2はマスデジ連携、フェーズ3が統合マーケティングだ。

 「三つのフェーズのうち、CTV領域に関してはフェーズ1のチャネル統合の取り組みと捉えられるため、5C モデル推進の中でも重要な位置付けになっています」(本間氏)

 二つ目の特徴は、オンオフ統合において重要視すべきことを「5つのC」として独自に定義し、各観点の分析によって現状を整理できることだ。

  1. オンオフ配信の戦略指標の連携としてCore
  2. 組織を超えた共創体制としてのCo Creation
  3. 統合クリエイティブとしてのCommunication
  4. 統合仕様設計、オンオフ予算配分としてのCost Control
  5. オンオフ計測やデータ統合を踏まえたConnect

 そして三つ目は、5Cの各観点で理想的な状態を作るために必要なアクション項目と評価のためのスコアリングシート。

 具体的なアクションが確認でき、また項目ごとに設定された評価軸でスコアを出すことができる。このシートではマーケティングの成果があげられることだけでなく、その持続可能性が高い状態が100点満点になるように設定しているという。

 このように5C モデルは、3つのフェーズ、重視されるべき5つのC、必要となるアクションとその評価項目によって、オンオフ統合までの複雑な道のりを細かく分解、具体化する。「実践に必要な理解を促すことで、オンオフ統合の成果が出やすい状態が作れる」と本間氏は語る。

 最後は市場の今後について述べ、セッションを締めくくった。

 「今後CTVは間違いなく動画広告市場を牽引する存在であり、TVerはその重要プレーヤーです。この領域では今後さらに難易度の高いオンオフ統合マーケティングが求められてくると考えています。これらの戦略にお困りの際は、ぜひセプテーニ、TVerにお声がけいただきたいと思います」(本間氏)

CTV広告にご興味のある方へ

 セプテーニでは、今回のレポートで紹介したCTV広告、オンオフ統合マーケティングなどについて、定期的な情報発信、ご相談の受付を行っております。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:Septeni Japan株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/08 10:00 https://markezine.jp/article/detail/41855