CTVでTVer広告が急成長 独自の強みは高い共視聴率
こうした特色を持つTVer広告だが、その成長過程において「CTV領域は最も大きなドライバーだった」と古田氏。2022年7月時点でCTVの再生比率は全体の29.3%まで伸びており、ユーザー数もかなりのペースで増加している。
「増加の背景としては、コンテンツがテレビデバイスでの視聴に向いていることが一番の要因ではありますが、デバイスや機能の拡充にも注力してきたことが大きな成長率につながっていると考えています」(古田氏)
大きな投資をしてきた結果、マーケターに対して「CTV広告といえば」とのアンケートを採ると、他プラットフォームを押さえて、TVer広告が想起率1位となった。
さらに、CTVにおけるTVer広告の大きな利点として「高い共視聴率」があると古田氏はいう。基本的には、デジタル広告は1対1のコミュニケーションをベースとしているが、TVerについては平均1.5人で見ているという結果が出ている。つまり、CTVで流れる広告では、実質的に1.5倍のリーチになるといえる。こうした点でも広告主から評価を得ているという。
ユーザーへのアンケート結果から精度の高いターゲティングを実現
CTVではこれまで「ターゲティングが難しい」という課題があった。この点に対しても、TVerには優位性があるという。
「まずデモグラについては精度の高いターゲティングができます。さらに、ユーザー様からは興味関心についてもアンケートで回答いただいていますので、ユーザー様自身が回答したデータを基にターゲティングを行えます。これにより、興味に沿った広告を流せるため、ランダムに広告を流すよりもさらなるリフトアップが狙えます」(古田氏)
TVerとセプテーニが共同で行った調査では、CTVでの広告接触者、非接触者の比較を行うと、接触者のほうがサービス認知の上昇が見られた。その上、継続出稿により継続的な上昇も見られることがわかった。
別の調査では、サービス評価については、CTVの接触者は全項目においてリフトアップしていた。特に興味関心で+5.3pt、購入意向で+6.4ptと顕著な効果が出ていた。
古田氏は今後も、ファーストパーティーデータの拡充と、2022年4月から開始した「TVer ID」によるターゲティングの精度向上や幅の拡張につながる取り組みを強化していくと述べた。
さらに、今までTVerに対して「テレビ番組の見逃し配信プラットフォーム」というイメージを持たれてきたが、オリジナル番組の制作も進んでいる。企業側からのニーズを受けてインフォマーシャルの制作も進行しているとのことだ。
続いて、セプテーニ本間氏が考えるTVerとCTVの課題とその対応策について説明した。
前提として、CTV市場は成長中であり、その市場を牽引するのは、TVerをはじめ、YouTubeやABEMAなどの動画配信プラットフォーマーだという。
ただ、TVerを広告掲載面として捉えた際に実情はかなり複雑であると本間氏はいう。理由は、TVer広告の配信面には、放送局それぞれが持っている枠、各種DSPから差し込める枠など、様々な形態があるためだ。
「セプテーニでは多くの配信面それぞれに網羅的に力を入れており、クライアントのニーズや用途に合わせて、うまく使い分けている」と本間氏は述べる。
CTV広告領域全体としては何が課題だろうか。本間氏は三つの課題があるという。