適切な指標でコンテンツマーケティングのヘルスチェックを
GAXマーケティングの佐藤氏はセッションの冒頭で「昨今はマーケターの中でもコンテンツマーケティングが非常に注目されています」と述べた。加えて「マーケティング最新動向調査 2023」のデータから、自社のサイト・アプリ・ECサイトに関するマーケティング施策・ツールにおいて、前年比で最も予算が増加したのはコンテンツマーケティングであることを紹介した。
続いてデータやデジタルトランスフォーメーション(DX)を中心に掲載するWebメディア「データのじかん」で編集長を務める野島氏が、その成長の道のりを解説。2017年の開設以来、堅調に読者とPV数を増やし2022年の年間累計PVは約570万に達した。
データのじかんの役割は、未顧客層を潜在層から顕在層に引き上げることと、情報発信や支援を通してそれぞれの層においてメディアとの関係を向上させることだ。野島氏によれば、(1)リーチの拡大(2)Webの占有率向上(3)顧客の背中を押すことをKGIに設定している。
視点の異なる3つのKGIを設定した理由は、一部の分野に偏ったKGIやKPIでは成果を捉える“解像度”が落ちるからだという。
「こうした事態を避けるためには、偏らないKGIでコンテンツマーケティングのヘルスチェックをすること。そしてメディアの成長過程で追うべきKPIも、柔軟に変更していくことが重要です」(野島氏)
「潜在キーワード」からブルーオーシャンを見極める
現在、データのじかんは月間約80万人が利用している。順調な成長の一方で、ユーザーや企業との双方向のタッチポイントが少ないことが課題であり、様々な施策を講じているという。野島氏はサイト開設から現在までの成長過程を、「立ち上げ時期」「効率性・利便性としてのオウンドメディア」「意味性・意義性を持つメディアへ」の3つの軸に分けて説明した。
まず立ち上げ時期には、コンテンツマーケティングを実施する意義を社内に理解してもらうことが重要だ。コンテンツの制作にはかなりのコストがかかるうえ、発信してから成果が出るまでの時間も必要だ。目先のKPIにとらわれてしまうとやるべきことができないほか、CTA(行動喚起)を大量に投入して終わってしまうこともある。そこで野島氏は「この時期はコンテンツマーケティングの意味・意義の社内的な浸透を意識しながら、トライ&エラーを繰り返すことが必要です」と説いた。
加えて立ち上げ時期に重要なのは、「“勝ち筋のブルーオーシャン”がどこにあるのか」を同業他社の動向から見極めることだ。野島氏はブルーオーシャンを捉える一例として下図に示すような「潜在キーワード」を捉えることを挙げた。以前行った同業他社とのコミュニケーション分析によると、同業他社のWebサイトはGoogle検索で1ページ目に入る潜在キーワードを捉えられていなかったという。
また同業他社や自社も含めて商品名や企業名はキーワードとして捉えていたものの、「業務改善」や「帳票」「KGI」といった社会的課題や業界的課題を表す単語を、潜在キーワードと捉えていなかった。
「データのじかんは、こうしたユーザージャーニーを踏まえた上ですぽっと抜けてしまったブルーオーシャンの領域を獲得することを目指していました」(野島氏)