評価指標をいかに定めるか
――先ほど、広告主は投資対効果をよりシビアに求めているとお話が出ました。そもそも何を効果とするか、クロスチャネルの場合は何を指標としていくか頭を悩ますポイントかと思います。推奨している評価指標や考え方がありましたら教えてください。
中村:KPIはマーケティング目的に応じて明確に決定し、その上で得られた広告効果を検証することが大切です。
たとえば、新商品の認知を獲得したいのであれば、まずは届けたいオーディエンスを定義し、その方々がYouTubeでどのような視聴行動をされているか、どのような興味関心があるのかをイメージし、ターゲティング内容を決定しましょう。
その上で、もしテレビCMとYouTube広告を行うキャンペーンであれば、まずはリーチのシミュレーションツールでユニークリーチ(届けたい人数)とフリークエンシー(表示回数)を調整し、最適な予算配分を決定します。そして実際にどれくらいのユーザーに広告が届いたのかをレポートで確認し、その上でクロスメディアブランドリフトを評価する、という手順です。
リフト値については過去の自社実績や業界のベンチマークを基準として判定すると思いますが、その際も、他のメディアでの広告接触の可能性などの外部要因も注意してみることが大切です。
視聴環境と視聴態度をイメージした上でプランニングを
――最後に、今後のコネクテッドテレビの広告活用について今後どのようなお取り組みをお考えか中長期的な視点も含め伺えますか。
中村:コネクテッドテレビは、ユーザーにとっても広告主にとっても、「馴染みがあり、かつ新しいデバイス」と言えるのではないでしょうか。インテージの調査によると、コネクテッドテレビ視聴者を「配信メイン型」「放送メイン型」のセグメントに分けて分析したところ、以下の特徴があるとのことです。

また、広告主の視点では、テレビ+ブランディングメイン層、デジタル+販促プロモーションメイン層に分かれるそうです。

「テレビ+ブランディングメイン」は「PDCAを回しやすいこと」や「ターゲティング精度が高いこと」への期待が強いのに対し、「デジタル+販促プロモーションメイン」は「大画面・音声あり」や「大多数のユーザーへのリーチ」への期待が強いという違いがあります。
このセグメント間の違いは、テレビCM、デジタル広告のどちらを現在のメインの広告チャネルとして用いているのかによって、メディアプランニングに対する課題が異なることを反映していると考えられます。
テレビCMをメインに使った広告主か、デジタル広告をメインに使ってきた広告主かによって期待が異なることは、生活者と同様に広告主にとってもコネクテッドテレビが「テレビとデジタルの交差点」であることを意味しています※8。
出典
※8:インテージ『“多様性”から理解するコネクテッドテレビ -生活者と広告主にとっての「テレビとデジタルの交差点」』https://gallery.intage.co.jp/ctv-2022/
なお、コネクテッドテレビが発展している米国では、YouTube広告のプランニングにおいてもはやコネクテッドテレビは欠かすことのできない存在となっており、広告主各社はクリエイティブや他のメディアとの最適な組み合わせに注力されている様子がうかがえます。
日本においても、AVOD・SVOD問わずたくさんのサービス事業者が魅力的なコンテンツを提供していることからも、今後もコネクテッドテレビのユーザーはますます増え続けることでしょう。
そしてテレビデバイスは、これまでの地上波のテレビCMに加えて、デジタルのコネクテッドテレビ広告も増え続け、動画広告の出稿先のメインスクリーンとしてより大きな影響力を持つことになるではないかと考えています。
繰り返しにはなりますが、広告主の皆様は、オーディエンスが肌身離さず持ち歩くスマートフォンやPC、タブレット、そしてリラックスしながら視聴するリビングルームでのテレビ画面という、視聴環境と視聴態度をイメージした上でプランニングをしていくことが重要です。
弊社でも、「幅広い世代のユーザー」「豊富なコンテンツ」「マルチデバイス・マルチフォーマット」という特徴を活かして、動画を投稿するクリエイターやパートナーには新たな動画制作の機会や収益化を、ユーザーには新たな動画の視聴体験を、そして広告主様にも新たな広告価値を提供できるよう、さらなる改善をしてまいります。
