【特集】テレビ×マーケティング2023
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TVer、利用者の伸長状況/直近ではM1層が増加傾向
“時間”と“場所”を選ばず、テレビコンテンツを無料で視聴できる民放公式のテレビ配信サービス「TVer」は、100社以上の放送局が参画、レギュラーで650番組以上のコンテンツを配信と、サービス規模が拡大するにつれ、その利用者規模も拡大。2023年4月には、アプリダウンロード数が6,000万を突破した。MUB(Monthly Unique Browsers)は2,739万、月間の動画再生数は3億2,149万回と、それぞれ歴代最高値を更新している(2023年3月時点)。
TVer取締役の薄井大郎氏は、「ドラマコンテンツはもちろん、バラエティ番組の再生数もドラマに追いつくレベルにまで増えてきました。最近では、アニメの再生数も徐々に伸長してきています。デモグラ別のユーザー構成のバランスが良いところが特長的で、直近ではスポーツのライブ配信が増えたためか、M1層が増加傾向にあります」と、利用拡大の状況を説明する。
利用者拡大の背景:サービス強化に向けた取り組み
2022年のTVerのハイライトは、大きく3つ。1つは「リアルタイム配信の開始」、2つ目は「ライブ&オリジナルコンテンツの拡充」、3つ目は「CTV広告の大幅な伸長」だ。
1:リアルタイム配信の開始
リアルタイム配信は2022年4月にローンチされ、民放5系列のゴールデンタイム、プライムタイムの番組を中心に、放送と同時にTVerで視聴できるようになった。スワイプすると隣のチャンネルに移動してザッピングできる機能や、リアルタイム配信中の番組を遡って見られる追っかけ再生機能も追加されている。同時期にリリースされた「TVer ID」も、登録者数は順調に伸びているそうだ。
2:ライブ&オリジナルコンテンツの拡充
人気ドラマやバラエティ番組のスピンオフコンテンツを独占で配信したり、完全オリジナルの番組を配信したりと、2022年以降はTVerでしか見られないコンテンツがさらに拡充。また、テレビ局の系列をまたいだコンテンツが集まっているというTVerの特徴を最大限に活かすため、人気俳優のアーカイブ作品をまとめるなど、多様な切り口での特集企画も展開されるようになった。
たとえば、2022年9月から10月にかけて実施した「サウナ特集」では、サウナを扱った番組をローカル各局も含めて、200エピソード以上配信。大塚製薬が冠協賛した。これに続く企画として、2023年4月からは「キャンプ特集」もスタートしている。
「局を横断した形で様々な取り組みを行い、ムーブメントを作っていくことがTVerの大きな役割であり、強みでもあると自負しています。2023年は成長が著しいCTVへの対応強化をはじめ、ユーザビリティを追求したサービス改善やローカル局との連携によるコンテンツの拡充にも、さらに積極的に取り組んでいきます」(薄井氏)