【特集】テレビ×マーケティング2023
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若年層の番組離れを課題とし、2016年から電通クリエイティブチームが参加
MarkeZine編集部(以下、MZ):この数年で「M-1グランプリ(以下、M-1)」への注目度が高まり、今や年末恒例の国民行事とも言えるほどになっています。有元さんは、電通のクリエイティブディレクターとしてM-1の番組プロモーションや番組の価値向上に携わられていますが、このM-1のプロジェクトはどのような課題感のもと始まったのですか?
有元:私がM-1のプロモーションに初めて携わらせていただいたのは2016年です。当時は「若年層の視聴者が離れている」というのが番組の一番大きな課題でした。そこで、TikTokを用いて、若年層向けのプロモーション施策を行ったのがプロジェクトの始まりです。
と言ったものの、実は一番初めのきっかけは個人的なもので。私、ただただM-1が好きなんです(笑)。電通のメディア局でM-1に関わっている担当者に「何でもいいので、M-1関連の仕事があったら下さい!」と言っていたら有難いことにチャンスをいただけて、企画したのが2016年のTikTok施策でした。
MZ:2016年と言うと、まだTikTokも今のように流行していない頃ですよね。
有元:当時のTikTokには、画面を半分に分割して、他ユーザーの動画と自分が撮影した動画を並べて投稿できる「デュエット機能」というものがありまして。漫才の座組にぴったりだなと思い、これを利用して「M-1出場の芸人さんと一緒に漫才ができる!」というようなコンテンツを展開しました。芸人さんにはTikTokの施策用にネタを再撮影させていただき、優勝が決まった瞬間にもその優勝ネタでTikTok動画を配信しました。
MZ:この施策が成功した翌年から、M-1の全体のプロモーションを担当されています。
有元:はい。どこまでTikTokの施策が寄与したかはわかりませんが、若年層、とりわけ10代の視聴者数を大きく伸ばすことができました。その成果と、何より私を含むクリエイティブチームが元々M-1が大好きなこともあって、朝日放送テレビさんが信頼を置いて下さり。M-1全体の盛り上げを一緒に考えていけることになりました。
また、この時、私の中でも、これまで広告の領域で培ってきた力は番宣にも活かせるかもしれないという手応えがありました。事前に盛り上がりを作ることで、番組を見たくなる感情をこんなにも大きくできるのか、という体感を2016年時点で得ることができていました。