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【特集】テレビ×マーケティング2023

ROI最大化と、意味ある出会いの創出を両立する。日産と博報堂DYが考えるテレビ活用の可能性

 テクノロジーの進化と生活者の変化によって、マーケティングにおけるテレビ広告の立ち位置も変わり続けている。日産自動車(以下、日産)は博報堂DYメディアパートナーズおよびTBWA HAKUHODOとともに、テレビ×デジタルのマーケティング戦略の策定・実行を実践している。これからのテレビ活用に何が必要か、事例を交えてうかがった。

※本記事は、2023年5月25日刊行の『MarkeZine』(雑誌)89号に掲載したものです。

ROI最大化のためにテレデジ統合は必須

日産自動車株式会社 日本マーケティング本部
ブランド&メディア戦略部 シニアマネージャー
小倉遵也(おぐら・じゅんや)氏

2019年に日産自動車入社。2021年よりメディア戦略を統括。メディア戦略改革を推進し、2023年度よりマーケティングマネージャーとして車種マーケティングを担当。

株式会社博報堂DYメディアパートナーズ
AaaSビジネス戦略局 戦略二部 部長
内藤匠哉(ないとう・たくや) 氏

2006年博報堂DYメディアパートナーズ入社。雑誌・プラニング・テレビタイムなどメディア領域での経験を経て、2022年度より「TV AaaS Lab」の編集長。

株式会社TBWA HAKUHODO Nissan United
インベストメントプラニング部 部長 兼
ビジネスデベロップメント部 部長
関谷 俊博(せきや・としひろ) 氏

メディアDXを起点にしたマーケティングマネジメントによる事業支援を統括。Campaign Asia誌 Channel/Engagement Planner of the Year他受賞。

株式会社TBWA HAKUHODO プラニング局
第2プラニングチーム 統合マーケティングディレクター
赤星 貴紀(あかほし・たかのり) 氏

戦略をマーケティング施策に一貫性をもって落とし込む統合マーケティング・プラニングを 得意とする。Campaign Asia誌Brand planner of the year受賞(2019)。

──まず、皆さんのご担当領域について教えてください。

小倉:私は日産でメディア戦略の統括を担っています。メディアの環境が大きく変化する中で、現在に最適化した戦略を考え、ROIの最大化をミッションに活動しています。

内藤:博報堂DYメディアパートナーズAaaSビジネス戦略局にて、「AaaS(Advertising as a Service)」と放送局の連携を推進しています。昨年9月より「TV AaaS Lab」という、放送局やすべてのステークホルダーとテレビの価値を共創するコミュニティの運営も担当しています。

関谷:AaaSのプロジェクトを実際に運用しているのがTBWA HAKUHODOです。私は日産様の専任チームであるNissan UnitedにてDXを捉えて日産ブランドの課題や社会課題を発見して意味ある変化を作る、ビジネスデザインをミッションとしています。多様なデータ・テクノロジーを融合して、日産様の事業計画に常時接続した統合マーケティングサービスとデジタルクリエイティブサービスを提供し、日産様のブランド価値向上を目指しています。

赤星:同じくTBWA HAKUHODOの赤星です。ストラテジックプランナーとして、リサーチを踏まえて車種ごとの戦略設計を行っています。日産様のプロジェクトでは、クリエイティブやメッセージだけでなく、メディアにも戦略を取り込む役割を担っています。

──日産と博報堂DYグループはともにテレビ×デジタルのメディア統合型のマーケティングに取り組まれています。その背景についてうかがえますか。

小倉:メディア投資のマーケティングROIを最大化することを目的に、「未来のお客様」に向けた、本邦初を含むメディア戦略改革に取り組んでいます。自動車は耐久消費財ですので、買い替えサイクルは頻繁ではありません。そのため、「今」自動車の購入を検討しているお客様は買い替えサイクルから逆算すると、せいぜい全体の2%程度と少ないです。また、現在約8割のお客様が、ディーラーに行く前にデジタル上で購入候補を決めるようになりました。ニーズが顕在化してからアプローチをしても遅いため、未来のお客様に対してマスメディアとデジタルを組み合わせて適切にアプローチする必要があります。

 取り組みとしては大きく2つの方向性があります。まず行ったのが、データポイントを拡充してお客様のインサイトやトレンドを深く理解し、テレビとデジタルメディアを統合的にリアルタイムに評価すること。

(タップで画像拡大)
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 私たちも生活者としては「テレビを見よう」「デジタルを見よう」という意識はなく、自然に接触していますよね。デジタルとテレビを分けて考えることがそもそもナンセンスです。

 さらにメディア・デバイス視聴環境の複雑化も、メディアプランニングに大きな影響を与えています。50歳以上を含めた「テレビからのインターネット利用率」は3割を超え、地上波のコンテンツをオンラインで配信する流れも加速している。今後はクロスメディアでの相乗効果を生み出すことがより重要になると考えています。

──「テレビとデジタルメディアを統合的にリアルタイムに評価すること」は、どう実現しているのですか?

関谷:博報堂DYグループのAaaSを活用しています。指標としているのは、テレビとデジタルのリーチ&フリークエンシーと、サイト来訪率。アッパーファネルの指標だけでなく、サイト来訪率まで見ることで、検討段階でのメディア戦略を最適化しています。お客様にどのくらいリーチできているのか、興味を持って反応していただいているか。これらをサイト来訪率の指標で見ることで、リーチ&フリークエンシーの無駄もなくなります。さらにサイトに来訪したお客様の反応を見ながら、適切なクリエイティブに差し替えていくことでマーケティングの効率化を図っています。

 データをオリジナルのダッシュボードで可視化し、弊社と日産様が情報を常時接続的に共有、打ち手まで一気通貫した運用ができるようになっています。

赤星:さらに、どんなメッセージやクリエイティブを当てるかも重要です。そこで、メディア戦略とクリエイティブの両面を考慮して、ターゲット像や市場を分析します。この時、デジタルの反応(クリック率など)とメディアの調査データをうまく組み合わせることが大切です。デジタルの反応だけで最適化されたクリエイティブでは、同じ素材ばかり見せられる状態に陥りがちです。メディアデータにマーケティング戦略を掛け合わせることで、効率視点だけでない最適なメッセージやクリエイティブが届けられるようにプランニングしています。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/25 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42260

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