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【特集】テレビ×マーケティング2023

「なぜCTV広告なのか」をまずは徹底的に考える。CTV広告活用に必要な観点とは

 CTV広告は無限大の可能性を持つ反面で、まだまだ科学されきっていない探索領域だと語るのは、セプテーニの社内横断組織「CTV LABO」を率いる甲斐 拓人氏です。企業がCTV広告の活用を検討する際にまず知っておくと良いことは何か。メディアの違いや評価方法、組織の考え方など様々な観点から甲斐氏にうかがいました。

CTV広告の違いを把握するための3つのポイント

  ――まずCTV LABOについて教えてください。

 CTV LABOは全社横断でコネクテッドTV(以下、CTV)を研究しているセプテーニの組織です。以前からCTVは日本国内でも高い成長が見込めるプロダクトになるだろうと注目していました。2020年から米国のマーケットを中心に情報収集を行っていましたが、2021年からはCTV LABOとしてメディアの深掘りや、どのようなクリエイティブを作ればよいか、PDCAはどう回すべきかなどを模索し、社内で知見を共有しています。

Septeni Japan株式会社 マーケティング戦略本部 メディア戦略推進部 部長 甲斐 拓人氏
Septeni Japan株式会社 マーケティング戦略本部 メディア戦略推進部 部長 甲斐 拓人氏

 ――CTV広告と言ってもメディアの種類は様々です。CTV広告の出稿を考えた時に違いを把握する必要があるかと思います。甲斐さんはどのようにお考えですか?

 前提として、CTVというデバイスに特化した広告商品はまだあまり多くありません。YouTubeやTVer、ABEMAの1配信デバイスとして存在しており、あくまでテレビデバイスにも配信ができるようになった変化だと捉えています。

 ただ、YouTube、TVer、ABEMAでそれぞれ傾向があることは確かです。そこで、次の3点をしっかり押さえておくとよいと思います。1つ目はそれぞれのメディアにおいてCTV視聴ユーザーがどれくらい存在しているか。2つ目は視聴ユーザーがどのような属性を持っているか。3つ目はそれぞれの広告フォーマットの違いについてです。

 たとえば、YouTubeの場合は3,500万人以上のユーザーがCTVの視聴者だと公式発表されています。また、豊富なコンテンツがあるので配信在庫の量も多く、安価にリーチが獲得できることが強いポイントです。フォーマットの観点では、スキップができない広告が増えてきているため、逆にスキップできる広告の存在が際立ってきている点は面白い変化です。スキップできる広告はユーザーの視聴体験を損なわないため、UX観点でも良さがあると言えます。

 一方、TVerやABEMAの場合は、プロが制作したコンテンツが見られるメディアです。広告もスキップできないフォーマットなので、視聴者はテレビCMと近しい広告体験ができます。そうした特徴を踏まえ、テレビと併用したプランニングをすることが増えてきています。

 視聴ユーザーの属性についてはメディアごとの特徴もありますが、コンテンツによって変わってきます。ドラマとビジネスニュースでは視聴者が違うケースが多いです。ここはテレビと同様ですね。加えて、目的を持って番組に来ているのか、ザッピングでたまたま見かけたのかでも視聴態度が異なります。テレビを中心に生活している方もいれば、常に聞き流しをするデバイスとして活用される方もいらっしゃるかと思います。そのデバイスに対して生活者はどう向き合っているのかを想像しながら、違いを踏まえてプランニングすることが大事だと思います。

 ――違いを知った上で選択する時に、広告主はどのような視点を持っておく必要がありますか?

 まずは「何を目的にテレビデバイスに配信をしたいか」から考えることが重要です。誰に・何を・どうやっての観点でプランを練っていくかと思いますが、「なぜCTVを入れるか」を我々と共に、とことん考えていただきたいと思っています。「この媒体に出稿したい」と媒体を指名してご相談をいただいた場合、お話をうかがっていくと実は別の媒体でもできますよと、別の提案が発生することもあります。CTVをプランに入れる理由を明確にできれば、我々の知見の中からベストな提案ができると思います。

「テレビCMのリーチ補完」から活用が変化しつつある

 ――CTV広告へのニーズはCTV LABO立ち上げからの3年間でどう変化していますか?

 これまで一番多かったご相談は、やはり、テレビCMのリーチ補完ですね。地上波を見ない人に対して、テレビというコンタクトポイントを使ってデジタルでアプローチをしようという発想は自然な流れかと思います。今では、テレビをあまり見ないノンテレ層へアプローチができる手段として、CTV自体を「第6局」と地上波とテレビ局と横並びにして考えるケースも出てきています。

 他方で、実際にCTV広告の配信をする中で、CTVそのものの効果・効能が見えてきたことから、KPIを設定し直すなど、CTV広告出稿の要件を再定義することが増えています。たとえば、テレビCMと連動した配信設計でブランドリフトの相乗効果を狙う。他にもサイトトラフィック、アプリインストール増加等、CTV広告の目的をはっきり置くケースが増加しています。

 当社ではクリエイティブのご相談をいただく機会も増えています。テレビCMに関連付けつつCTV広告では違うビジュアルやストーリーを作りたい、帯をつけるなどデジタルだからこそできる表現もチャレンジしたいといった声が増えています。つまり、先行してCTV広告におけるクリエイティブTIPSを作りたいご意向を持った広告主様が増えてきたという印象です。

 当社が独自に行った調査では、動画内のメッセージを常時表示するかどうか、短尺動画でメッセージの効果が出やすい構成は他デバイスでも同様に効果が出るかなどの観点で、反応が変わることがわかっています。当社では比較的早期から、テレビというデバイスにおけるクリエイティブの効果をリサーチして、メッセージの配置や構成について広告主様のご相談に応えられるよう、TIPS化・実践化に力を注いでいます。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/22 10:16 https://markezine.jp/article/detail/42378

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