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【特集】テレビ×マーケティング2023

ROI最大化と、意味ある出会いの創出を両立する。日産と博報堂DYが考えるテレビ活用の可能性

マーケティングにおけるテレビ活用の課題

──先ほど、AaaSを活用されていると話が出ました。改めて概要をうかがえますか。

内藤:博報堂DYグループが提供する広告メディアビジネスの次世代モデルがAaaSです。AaaSでは独自のデータウェアハウス(DWH)を構築し、広告主のマーケティングデータや媒体社データ、博報堂DYグループの保有する生活者データなど、あらゆるデータを統合。日産様にお使いいただいている「Analytics AaaS」や「TeleDigi AaaS」をはじめとした4つのサービス群を通じて、メディアプラニング、バイイング、モニタリング領域において統合的なマーケティング施策を実現します。

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──テレビCMの効果最大化という言葉をよく耳にしますが、博報堂DYグループでは何をもって「成果が出た/最大化できた」と定義していますか?

関谷:「成果が出た/最大化できた」の定義は、短期と中長期の視点を持つことが大切だと考えています。

 我々はブランド価値やセールスと相関のある中間指標を特定して、ダッシュボードでリアルタイムに可視化しています。日産様の場合は、テレビとデジタルのリーチ&フリークエンシーと、サイト来訪率が中間指標です。

 ただ、テレビCMの効果は短期的な数字の達成だけを目指して追っていくと、長く続かず最大化できません。目の前の中間指標の改善にとどまらず、日産様であればコーポレートパーパスである「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける」ために、「技術の日産が人生を面白くする」ブランドの提供価値につながっているかに向き合います。日産様のブランド好意度向上までつながったという結果をもって「成果が出た/最大化できた」と定義しています。

──少し日産の話から離れますが、テレビ活用について広告主が抱える課題は何でしょうか?また、そこに広告会社が果たす役割はどのようなものだとお考えですか?

内藤:テレビを取り巻く環境変化や価値の情報発信が足りていないことが、結果的に広告主の課題になっていると考えています。生活者の変化は目まぐるしいですが、テレビの効果測定は比較的閉じられた状況でやり取りされており、デジタル広告のように統計加工し利活用されたりイベントで発信されたりすることはありません。テレビの価値や変化に、マーケターの方々が触れやすい環境を整備することが必要だと考えます。この課題に向き合う一歩として、我々はTVAaaSLabという価値共創コミュニティを立ち上げました。

関谷:「マーケティング投資の最適化」と「顧客との関係性やブランド価値の向上」が大きな課題と言えます。これらを解決するためにテレビの活用も時流に合わせて変化させることが求められています。そのために広告会社としては、データポイントの拡充やテレデジ統合によるメディア費の効率運用だけでなく、新しいテレビ活用のアイデアを提案することで、広告主様のブランド価値向上に貢献していきたいと考えます。

──生活者やメディアの変化にいかに対応するかが鍵ですね。日産の取り組みのうち、他社が取り入れられるポイントを教えてください。

内藤:まずはデータの拡充から始めるとよいと思います。テクノロジーの進化によって、これまでできなかったテレビの効果測定ができるようになってきています。また、日産様の「単なる数字の改善だけにとどめない姿勢」は参考になるのではないでしょうか。テレビ活用の成果を見る上では、目の前の数字だけではなく、ブランドイメージの向上など本来達成したかった目的につながっているかも重要です。KPIを設定・評価する際に、その視点を持つことで、単なる目の前の数字改善だけではない、テレビ活用の効果最大化が図れると思います。

小倉:お客様の意識が変化する中で、社会への貢献もブランドの評価につながってきていると感じます。すなわち、企業のパーパスをいかに実現していくかが重要です。セールスへの貢献度はもちろんですが、こうした中長期的な貢献もデータとして可視化し、投資の価値を表現していくことが大事だと思います。

 また、データがたくさんありすぎて混乱するのは本末転倒です。目的を達成するために必要なものを見極めて抽出することが大切。Web3やクッキーレスなど、メディア環境の変化が加速する中で拠り所になるのは過去のデータの蓄積です。自社に必要なデータを蓄えて、それをベースに新しいことにチャレンジしていくことがポイントだと思います。

──最後にテレビ活用を含めたマーケティングの取り組みの展望についてうかがえますか。

小倉:Dance Over Thereの取り組みの加速と、弊社内の知見蓄積の加速に取り組んでいきたいと考えています。Dance Over Thereの取り組みでは、弊社のDNAである「他のやらぬことを、やる」精神で、お客様がワクワクするブランド体験の提供に挑戦したいです。そうした取り組みの背骨として、AaaSを活用することで得られたノウハウを蓄積してメディア費を効率化することで、新たな取り組みに再投資していきたいと考えています。

関谷:直近では、NBA JAPAN GAMESへのスポンサーシップによる、イベント・デジタル・UGCとテレビも含めたPRを融合した取り組みを行いました。このように、メディア費を時流に合わせて再投資し、Dance Over Thereにつなげたサイクルを回せるよう、アイデアとテクノロジーで、テレビ活用も含めた、ディスラプション(破壊的イノベーション)を起こし、日産様のブランド価値向上に少しでも貢献していきたいと考えております。

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/05/25 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42260

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