TVer広告、売上は前年比215%で成長
3:CTV広告の大幅な伸長
続いては、TVerの広告事業の概況について。TVer広告は、2021年も実績を伸ばしていたが、2022年はさらなる成長を遂げたようだ。
具体的には、売上がYoY(前年比)215%、キャンペーン数はYoY244%で成長。TVer広告を活用する企業の数も増えており、取引者数は広告主が201%、広告会社が186%の伸び率で増加したという。
TVer執行役員の古田和俊氏は「TVer広告では、デモグラ、コンテンツジャンルに加えて、興味・関心データの拡充にも努めてきました。TVer IDを始めたことで、クロスデバイスでのフリークエンシーコントロールが可能になったことも成長の要因だと考えています」と振り返った。

TVerのCTV広告媒体としての特徴は、平均1.5人で見られているという共視聴率の高さにある。テレビ、PC、タブレット、スマートフォンと色々なデバイスで利用できるTVerだが、デバイス別の再生回数ではCTVが31%を占めており、家族と共にテレビでTVerを視聴している様子がうかがえる。2023年4月からは、ワンプッシュでTVerを立ち上げられる「TVerボタン」をAmazon Fire TVシリーズ用のリモコンにも搭載するなど、対応デバイスをさらに広げる動きもある。

「2023年は、TVer広告のターゲティング、レポーティングの充実と、広告商品のメニューを強化していきます。TVer広告では、これまでフルマネージドでサービスを提供してきましたが、広告会社が自社で入稿・配信・レポーティングまでできるセルフサーブ機能を今年提供予定です。加えて、ファーストパーティーデータを活用したTVerサーベイや、TVer IDを利用した広告の効果検証などの機能アップデートも予定しています」(古田氏)
2023年に提供予定、TVer広告の新機能3つ
TVer広告の具体的な開発方針は、TVer広告事業本部 技術統括の矢部怜史氏が説明した。

2023年に提供予定の機能は3つある。1つ目は、先にも挙がったセルフサーブ機能の導入だ。これにより、広告会社が直接入稿・配信・レポーティングを行えるようになる。TVer広告では、ユーザーデータ、コンテンツのメタデータ、視聴データなどを利用したファーストパーティーデータ DMPの構築、それを利用したターゲティングおよびレポーティングの実現に向けて開発を行っている最中だが、ここではファーストパーティーデータを活用したターゲティングも可能となるそうだ。
2つ目はレポーティング機能の拡充。インストリーム広告枠でユーザーにダイレクトにアンケート調査を行える「TVer Survey」が提供されるほか、番組ジャンル別、フリークエンシー別でのクロス集計・分析がされたレポートも提供される予定だという。
3つ目は、「IDグラフ配信」。これは、TVer IDに準拠したIDグラフの生成を行い、それをもとに配信を行うという機能だ。これにより、効果検証が難しいCTV広告においても、クロスデバイスでブランドリフト調査を行うことができるようになる。また、クロスデバイスでのフリークエンシーコントロールも可能になるため、フリークエンシー過多の改善も期待できる。