アプリとリアル店舗の接点を活用
リテールメディアへ本格参入したセブン-イレブン・ジャパンは、商品戦略本部傘下に専門組織として「リテールメディア推進部」を設置。現在は自社アプリ「セブン-イレブンアプリ」での広告配信を中心に広告を展開している。
参入の背景には、同社が持つ3つの強みがあると杉浦氏。まず1つ目が、「セブン‐イレブンアプリ」の成長だ。会員数は2,000万人を超え、顧客一人ひとりとつながれる媒体として存在感を示している。
2つ目の要因は、このような会員基盤のもと1stパーティデータを多く保有できている点だ。3つ目には、北は北海道から南は沖縄まで、各地に約2万店舗という多くの「面」を有することが挙げられる。「お客様との広い接点を持つということは、我々がリテールメディアに参入するうえで大きな強みとなりました」と杉浦氏は説明した。
全国2万店舗の顧客接点をメディア化し、効果的に販促
リテールメディア推進部では、ターゲティングからレポーティング、クリエイティブの準備やデータ分析まで、基本的にすべての事業スキームを自社で担っている。提供するのは以下の4つのソリューションだ。
(1)自社アプリのバナー広告による1to1コミュニケーション
(2)約2万店舗の面を利用した広告展開
(3)独自の顧客データを活用したレポーティングやターゲティング
(4)外部メディアとの連携による新たな接点の創出
まず(1)「セブン‐イレブンアプリ」の広告配信は、セブン-イレブン・ジャパンのリテールメディアの主軸にもなっている。アプリのトップバナーの部分を広告枠として提供するもので、値引きクーポンなどの販促機能と組み合わせた広告が中心に。バナー広告で商品を知ってもらい(認知)、クーポンの獲得で販促にも生かす(購買)という仕組みだ。
「アプリの視聴タイミングは、ほとんどが店舗での買い物中です。さらに視聴時間も7割が2分以内。しかし逆に考えると、お店で買う時だけは見るということです。約2,000万人の会員に対し、購買意欲があるタイミングでアプローチできる。広告によって顧客の行動変容が可能になることが、最大の特徴だと思います」(杉浦氏)
さらに、今後注力したい点として挙げたのが(2)店頭・店舗のメディア化だ。現在、同社では、都内の直営店12店舗にデジタルサイネージを設置し広告配信を実施している。
「セブン-イレブンのフェアや、キャンペーン・商品情報など、エンタメ要素を含んだ動画を交えて配信しています。お客様は広告を見に来ているわけではありません。あくまで顧客体験価値を高めつつ、面としての視聴率が向上することの両立を目指しています」と、杉浦氏は面の拡張だけでなく見てもらえるコンテンツを作る重要性も示した。
実際にフェア情報を流すことで、デジタル広告を流していない店舗と比較し売り上げ向上の効果が見られたという。
