ついやりたくなってしまう、意識的な瞬間UX
意識的な「ついやりたくなってしまう」行動を喚起する要素としては、以下の5つの構成要素を定義しています。

外的要因に由来する「期待」「類推」と、内的要因から来る「社会規範」「好奇心」「不協和」によって、ユーザーの「ついやりたくなってしまう」行動を喚起することが可能です。
期待:「行動したら〇〇が起こりそう」だから、やりたくなってしまう
類推:「〇〇に似ている」から、同じ行動をやりたくなってしまう
社会規範:「社会通念上やらないといけない」から、同じ行動をやりたくなってしまう
好奇心:「何が起こるかわからない」から、やりたくなってしまう
不協和:「〇〇をしないと気持ちが悪い」から、やりたくなってしまう
ついやり続けてしまう、粘着質な習慣UX
これまで紹介してきた瞬間UXに対して、習慣UXは「ついやり続けてしまう」行動です。階段を上るとスマホ上に自分が上った段数が表示され、50段まで残り3段、達成できたら賞品獲得のチャンスなどと表示されたら明日も上る気持ちになってしまいます。これが粘着質な「ついやり続けてしまう」行動になります。

「ついやり続けたくなってしまう」行動を喚起する要素として、8つの人間の基本属性と72の構成要素を定義しています。これは、毎日やり続けたくなってしまうゲームのUXを分解し一般化したうえで、再構築・定義したものです。
したがってセガ エックスディーでは、これを「ゲーミフィケーション(ゲームの要素を別の分野で応用する手法)」の構成要素としています。粘着質な習慣UXは、リピート顧客や長期ファンの創出につながります。

本記事では行動中心設計の全体像をご紹介しました。行動中心設計は体験全体を考えようとするのではなく、まずはユーザーの1シーンを切り取り1つの行動に着目します。一つひとつの行動変容を積み上げた結果、全体の体験が設計されるアプローチです。

第2回以降では、それぞれの行動設計の手法を具体的な事例を交えながら紹介します。皆さんのマーケティング活動の一助になれば幸いです。