Z世代の消費特性はタイパ志向 時間も重要な資産
両氏は次に、調査結果を基に「Z世代の行動特性と支払い手段の関連性」について振り返った。
まず、30代半ばから後半を「草食系世代」、20代後半から30代前半を「ゆとり世代」、20代半ば以下を「Z世代」と分けて消費特性について調査を行った。
結果、草食系世代は消費特性として「節約志向」が強く見られるという。これは2004年頃にはやった自己責任論が関係しており、自分たちで管理をすることが重要で、きちんと価格の比較などを行わずに「無駄な買い物」を行ってしまった場合はそれが自己責任になると考える人が多いという。
一方で、ゆとり世代からは、「費用対効果(コスパ)」が重要視されていることがわかったという。ここでいう費用対効果は中長期的な視点であり、「今の時点での値段よりも、後に売ろうとなった時に、このブランドは値崩れしない」といった視点でお得かどうかを判断していると牛窪氏は説明した。

Z世代に関して、重要視しているのはタイパ。値段もだが、時間も重要な資源として見ているという。自分たちが使っている時間をアルバイトできたらいくらになるかといった点まで考え、行動に移すといった特徴がある。このように時間を有限な資源と捉えているからこそ、想定外のことを良くないことに捉える傾向がある。
これらの特徴はメルカリのサービスにも活かされていると成澤氏は語った。
「メルカリのECと比較した際の違う特徴として、一点物を取り扱っているという点が挙がります。その一点物を取り逃すことなくすぐに手に入れたいという人が多く、購入手続きをすぐに終えてしまうことを重視する人は少なくありません。そういった時間的制約に対していかに準備できているかという点を普段から考える人が利用者には多いです」(成澤氏)
その点でも、売上金を購入に使用できるメルカードはZ世代の志向に添っているという。
Z世代の想定外にならないような体験設計が重要
成澤氏は、Z世代の意見から見る生活者の価値観の変化にともない、支払い体験を提供していく上で特に気を付けていることが二つあると語った。
一つ目が「利用状況の可視化」。同社の展開するスマート払い(分割払い)の画面では、今度の支払いシミュレーションや手数料金額を明確に提示しているという。
「今自分が欲しいと思っているもののために、毎月いくら支払い、いつまでに支払いが終わるのかを明確に想像できるようにする。こうすることで『後になって実はこんなに支払いがあったんだと驚きたくない』といったサプライズアレルギーを起こすことなく、計画的にご利用いただくことができます」(成澤氏)
二つ目が「柔軟な支払い方法の提供」だ。メルカリの売上金を支払いに使用できる機能も具体的な施策の一つだが、明細ごとに24時間いつでも支払いできる機能も提供している。このように、支払いの手段・タイミングの両面で柔軟なサービスになるように心がけているという。

最後に牛窪氏は、これらの傾向を踏まえて次のように語った。
「Z世代はいつ何が起こるかわからない時代に身を置いているからこそ、自身のライフスタイルや経済状況を自分でコントロールしたいと考えている人が多いです。支払いの柔軟性があるとZ世代に安心を提供することになり、対応できているサービスほど需要が高まっていると感じます」