ポップで適度な“違和感”を狙った店舗
――続いて、2foodsの各種施策について伺っていきたいと思います。銀座ロフト店は通りに面している上に、店内が外からも見渡せるようにガラス張りになっています。この店舗設計にはどのような狙いがあったのでしょうか。
2foodsではヘルシージャンクという言葉以外にも、ロゴや色使いなど様々なクリエイティブに、一般的なプラントベースフードのイメージとは異なる「ポップで適度な違和感」を醸し出すよう工夫しています。個性的な世界観を通じて「こんな表現もあるのか」と感じていただき、より親近感を持ってもらいたいからです。


その結果、プラントベースフードの店だと知らずにふらっと入って来る方も多くいらっしゃいます。肩肘を張らずにプラントベースフードを楽しんでいただけているのではないでしょうか。
また、渋谷店はより若者向けのポップな内装にするなど、各エリアの客層に合わせて店舗の雰囲気にも若干差を設けています。先ほどは若者を主なターゲットに据えているとお伝えしましたが、最終的には全世代の人に当社のファンになってもらえると思っています。その理由は、年齢や性別を超えた思考や価値観、つまりサイコグラフィックの要素を含んだ商品だからです。
プラントベースフードの「ヘルシーで、なおかつおいしい食べ物」という本来のイメージを日本市場にきちんと“輸入”させることができれば、今後はより多様な層の方に楽しんでいただけると思っています。
カルチャープレースメントという訴求手段
――ヘルシージャンクというブランドのコンセプトを、音楽を通じて伝える施策「Project2」について、その狙いと概要を教えてください。
Project2は、音楽やファッションといったプラントベースフードと一見無関係に見える分野のコンテンツを介して、プラントベースフードの価値訴求を目指したプロジェクトです。第一弾として、音楽レーベル「Project2 Music」を立ち上げ、Z世代から絶大な人気を集めるヒップホップアーティスト「T-STONE」とコラボした楽曲をリリースし、YouTubeなどで配信しました。
T-STONEさんは1型糖尿病を患っており、Project2のとある動画では「糖尿病によって様々な制限はあるものの、必要な注射を打つことで好きなものを食べられる」という話をされています。
この動画には大変多くの反響がありました。たとえば、同じ1型糖尿病の方からは「励まされた」「同じ境遇の仲間がいると感じられる」といった声が寄せられました。また、病気をコントロールできれば好きな食べ物を食べられることへの気づきや、影響力のある人が自らの病気について発信することの重要性などに言及したコメントもありました。
このように、ヒップホップアーティストがプラントベースフードに触れつつ自身について語ることで、アーティストのファンが当社のカルチャーを自然と理解できる──そうした「カルチャープレースメント(※)」の効果を期待しています。
※プロダクトプレイスメントのように、コンテンツの中に企業や商品のカルチャーを溶け込ませる手法。2foodsがブランドとして定義している