MarkeZine編集部が刊行した『マーケティング最新動向調査 2023』では有識者による論考を5本収録しています。今回、その中から「統合マーケティング」をテーマにした論考を特別公開します。オンオフ統合を実現するために重要なポイントを7つの論点から考える本稿、ぜひ御覧ください。
考えるべきは、デジタルマーケティングではなくマーケティングのデジタル化
現在マーケティングの大きな変化として、押さえておきたい点が2つある。1つは新型コロナ発生以降に加速した生活様式の変化による“デジタル接点で捉えることのできる生活者”の増加。もう1つはプラットフォーム事業者の提供するデータ分析環境の進化だ。
この2つにより、マーケティングのオンオフ統合が顧客のIDベースで進み、市場機会の発見から戦略立案、施策の実行、改善までが一気通貫でマネジメントできるようになる。また、生活者の“潜在的なニーズ”を見つけ、その“需要を喚起”し、購入を促し、購入後の商品利用の満足度を高めるところまで、より顧客視点で統合されたマーケティングも実現することができる。
ここから数年は、単なるデジタルメディアを活用したマーケティングではなく、本格的にオンオフを統合しマーケティング自体をどうデジタル化していくかが問われていくだろう。このマーケティングのデジタル化に際して、重要と思われる論点を7つ述べていきたい。
1.デジタル接点の拡大が、IDベースのマーケティングを加速する
生活様式の変化により、顧客接点はオンライン化やアプリ化が加速し、IDに紐付くデータの種類が格段に増えてきている。たとえば、スマートフォン端末ごとの広告識別子やメールアドレス、SNSのログインIDなどのデータに加えて、テレビのオンライン結線による視聴ログの取得、キャッシュレス決済による“購買データ”など、統合され得るデータも飛躍的に増加。大規模なIDをベースに、マーケティング戦略の立案から施策の実行、効果検証までをマネジメントできるようになり始めている。
この影響は、デジタル中心の業界(アプリゲームやEC商材など)だけに及ぶものではない。市場規模が大きく、デジタルだけで顧客を捉え動かすことが難しかった消費財カテゴリーなどへ与える影響が大きいことが注目すべき点だろう。
2.データ分析環境の進化は、様々なデータの統合を可能にする2つ目の変化である
データ分析環境の進化とは、個人情報保護の意識が高まる中、プラットフォーム事業者が提供を始めたデータクリーンルーム(以下、DCR)が代表的だ。
各プラットフォーム事業者が許諾を取得したデータや、その他の外部データを個人が特定できない環境で統合・分析しながら、高度なデータマーケティングを可能にするDCR。この活用が非常に重要になってくるだろう。また、自社で蓄積するデータとその分析の基盤としてのカスタマー・データ・プラットフォーム(以下、CDP)の普及も目覚ましい。購買データや調査データ、広告関連の接触データも、DCRやCDPでのID連携が行われており、個人情報を保護した上で、統合的にデータマネジメントできるようになってきている。
このように、様々なデータがIDベースで分析可能になることで、これまでは“自社で取得したお客様データ”をCRMで活用するにとどまっていたものが、まだ自社の顧客になっていない、あるいは顧客だがIDを把握できていない“自社の外のお客様データ”を精度高く捉えマーケティング活用できるようになってきているのだ。
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江頭 瑠威(エガシラ ルイ)
株式会社電通 データマーケティングセンター PDM推進部 部長/シニアディレクター
2006年株式会社電通入社。広告のアカウンタビリティ研究部門を経て、戦略プランニング部門に異動。ブランドコンサルティング、コミュニケーションプラン、PRコンサルティング等を、幅広いクライアントに提供。2012年ビジネスインテリ...
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