SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

250万人規模のデータで解説!今月の消費トレンド速報

映画「名探偵コナン」の熱狂に見る“キャラ推し”心理

データから見る、キャラクターの魅力とファンの熱量

 続いて、コナンに登場するキャラクターを軸に分析していきます。今回は主要キャラクターのうち「江戸川コナン」「毛利蘭」「灰原哀」「安室透」「赤井秀一」の5キャラクターをピックアップし、検索ユーザーの属性や関心を探りました。

 まずは、各キャラクター名での検索ユーザー数(UU)を見てみます。2023年4月の映画公開時に最も大きく検索の山が見られたのは、「灰原哀」でした。

【クリックして拡大】2022年6月~2023年5月 各キャラクター名 検索ユーザー数の推移(Dockpit/PC・スマホ合算)
【クリックして拡大】2022年6月~2023年5月 各キャラクター名 検索ユーザー数の推移(Dockpit/PC・スマホ合算)

 2023年公開の『黒鉄の魚影』が灰原哀をメインキャラクターに置いているという映画の内容が関係しているのは当然ですが、主人公の「江戸川コナン」やメインヒロインの「毛利蘭」よりも、「灰原哀」「安室透」「赤井秀一」といったサブキャラクターへの関心のほうが圧倒的に高い点は注目すべきポイントです。次々と劇場版で活躍する魅力的なサブキャラクターの存在が、『劇場版 名探偵コナン』の人気を支え続けていると言えるかもしれません。

 また、興味深かったのは、各キャラクター名を検索した人の性別構成比です。下は各キャラクターの検索ユーザーの性年代を示したもの。男性キャラクター「安室透」の女性ユーザーが非常に多いのがわかります。

【クリックして拡大】2022年6月~2023年5月 各キャラクター名検索ユーザー数の性別構成比(Dockpit/PC・スマホ合算)
【クリックして拡大】2022年6月~2023年5月 各キャラクター名検索ユーザー数の性別構成比(Dockpit/PC・スマホ合算)

 そこで、検索者が「安室透」のどのようなことに対して関心を持っているのか、検索時の掛け合わせのワードも見てみました。最も多く掛け合わせワードで共通するのは「登場回」。メインの登場人物でないからこそ、登場する回をまとめて知りたいというファン心理が窺える結果となっています。

2023年6月~2023年5月「灰原哀」検索者の掛け合わせ上位ワード(Dockpit/PC・スマホ合算)
2023年6月~2023年5月「安室透」検索者の掛け合わせ上位ワード(Dockpit/PC・スマホ合算)

 また、「車」というワードが上位である点も特徴的です。安室透はマツダ「RX-7」の車種を乗りこなしています。登場人物の愛車を知り、その存在をよりリアルに感じたいというファンの心理が読み取れます。他のキャラクターの掛け合わせ検索ワードと比較すると、安室透に関しては「身長」「年齢」のワードが多いことも特徴で、ここにもキャラクターのリアルを知りたいというファン心理が見え隠れします。

 加えて、同性にも支持されている「灰原哀」にも注目してみたいと思います。「灰原哀」については、「好き」という検索ワードが掛け合わせの上位となっている点に注目です。実際に「灰原哀 好き」で検索すると、“灰原哀はコナンのことを好きなのか”を検証する記事やサイトが上位に表示されます。コナンに対する気持ちの揺らぎが映画の中で丁寧に描かれているからこそ、思わず気持ちを確かめたくなってしまうのかもしれません。

2023年6月~2023年5月「灰原哀」検索者の掛け合わせ上位ワード(Dockpit/PC・スマホ合算)
2023年6月~2023年5月「灰原哀」検索者の掛け合わせ上位ワード(Dockpit/PC・スマホ合算)

検索行動からわかる、コナンの「キャラクター沼」

 ここまで、過去の「名探偵コナン」の検索データから、検索ユーザーの関心の推移や、キャラクターへの熱量を分析しました。データからは、「名探偵コナン」というコンテンツが主人公の江戸川コナンだけではなく、サブヒロインの灰原哀や安室透、赤井秀一といった脇を固めるキャラクターの魅力にも裏打ちされ、若い女性を中心に絶えず話題を集め人気を保ち続けていることがわかりました。

 サブヒロインの灰原哀の心理をはっきりと描かず、ファンに「本当にコナン君のことが好きなの?」とヤキモキさせる余地を残していたり、男性キャラクターにまるで実在の人物かのような設定を与えることでファンがリアルな存在感を抱きやすかったり。キャラクターの魅せ方が、昨今の「推し活」の文脈にぴったりはまっているように思えます。毎年4月には映画の公開と共にキャラクターカフェやグッズなど、「コナン」の世界観を体験できる場所やモノが様々展開されており、推しキャラの“沼”にハマるファンの多さがうかがえます。

 「名探偵コナン」は息の長い”ファンダム”を築く成功例として、エンターテインメントというジャンルに留まらず、ファンマーケティングにおいても、よい手本を見せてくれる存在だといえるでしょう。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
250万人規模のデータで解説!今月の消費トレンド速報連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

海野 秋生(ウンノ アキミ)

株式会社ヴァリューズ ソリューション局 インサイトアナリティクスG マネジャー

大学卒業後、PR会社に入社。その後戦略PR会社、調査会社を経て2020年より現職。アンケート調査を活かしたPR調査のほか、消費財のリブランディングにあたるグループインタビューやコンセプト受容性調査、広告効果検証調査など定量・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/06/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/42569

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング