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有園が訊く!

急速に広がる生成AIは、マーケティングにどう影響する?AI活用を前提とした時代に競争優位を築くには

プロンプトを書けるか否かが、AI活用の分かれ道

有園:新しく生まれる仕事にどうシフトしていくか、ということですね。

西口:そうですね。それでいうと、現状ではプロンプティングが非常に重要になっていると思います。端的にいうと、AIへの指示出しですね。AIをいろいろと触っていますが、指示の出し方ひとつで返ってくる内容が全然異なってきます。たとえばChatGPTで、「世界全体の変化に責任を伴う役割で答えてください」などと役割のプレッシャーをかけると、すごくクオリティが上がるんです(笑)。

有園:それは知らなかったです(笑)。

西口:前提条件などの設定が変わると回答が変わるので、プロンプトを書ける人と書けない人では、AI活用の効果がかなり違ってきますよね。

有園:確かに、私の周りでもこの半年くらいで「プロンプティングのお手伝いをします」と仕事を募集する人が複数出てきています。

西口:わかります。ビジネスの構造を理解していないと、的確で解像度の高い質問ができないので、プロンプティングの技術を持った人の需要は今増えていますね。ただ、英語圏では“ベストプロンプト”が常に公表されているので、AIがそれを取り込んでいくと、指示があいまいでも大丈夫になっていくのかもしれません。マイクロソフトのBing AI チャットも、どんどんアシストしてくれるようになっていますよね?

有園:そうですね。この2月に新しくなったBingには、マイクロソフトが出資しているOpenAIのChatGPTを組み込んでいて、「より独創的に」「よりバランスよく」「より厳密に」といった3つの返答の方向性をあらかじめ示すようにしています。おっしゃるように、ユーザーを助ける一貫として取り組んでいます。

日本マイクロソフト Regional Vice President Japan, Microsoft Advertising 有園雄一氏
日本マイクロソフト Regional Vice President Japan, Microsoft Advertising 有園雄一氏

Officeというインターフェースを持つマイクロソフトとAI

西口:おもしろいですよね。これも自動化がどんどん進めば、プロンプティングは最終的に目的設定だけで終わるはずだと思っています。

 開発プラットフォームのGitHub上に、ChatGPTの進化版として自動化を強化した「AutoGPT」や「babyAGI」という技術があります。目標を設定すれば、対話を重ねなくても自動でタスクが組まれ、改善と修正を繰り返した上で回答を出してくれるのです。

 たとえば「このような新しいヘアケア商品をつくりたいが工場はない、どうすればいいか」と問うと、「このOEM企業がよい、こうすればこんな商品ができる、コストはこのくらいでこんなポジショニングの獲得が見込める」というところまで追求してくれます。まだ精度は高くなく、一般論に近いのですが、自分が知らない分野のことを聞くと、いきなり知識レベルがジャンプアップする感じがします。

 御社は数年前にGitHubも買収していますよね? そして今年のOpenAIへの投資だったので、先見の明があるなと思いました。

有園:GitHubの買収が2018年ですね。2014年に現在のCEOが就任してから、技術投資がさらに加速しています。クラウド版業務ソフトMicrosoft 365の提供や、広告ビジネスの展開も、その流れの中にあると思います。

西口:Office系ツールがあるから、ビジネスパーソンが最も多く接するのはマイクロソフトじゃないですか。インプットとアウトプットを押さえている。これはAIが最も強い領域なので、ビジネス的にすごく広がりがありそうです。

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AIが台頭しても残る“トップの仕事”とは?

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/07/06 08:00 https://markezine.jp/article/detail/42633

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